月の土壌から3Dプリントで建設資材を製造する「GLAMSプロジェクト」

イタリアの3Dプリンター企業World’s Advanced Saving Project(WASP)は2025年1月13日、自社サイトで、セメントの代替材料であるジオポリマーの3Dプリント技術の月面探査への応用に言及した。これは、イタリア宇宙庁(ASI)が支援するGLAMSプロジェクトの一環だ。

ジオポリマーの航空宇宙分野での想定用途のひとつに、月面での建設資材の製造がある。「レゴリス」と呼ばれる月の土壌から抽出したジオポリマーとバインダーを用いる3Dプリント技術で建設資材を製造すれば、大量の資材を地球から輸送する必要がなくなる。

ジオポリマーは、コンクリートと似た性質を持った持続可能な素材だ。強度と耐水性を増すための焼成が必要ない。また、製造プロセスにおける二酸化炭素排出量を、最大80%削減する。過酷な条件下でも高い化学的/機械的性能を発揮するという。

ジオポリマーは研磨性と粘度が高いため、標準的な3Dプリントの押出システムには適さない。WASPが開発したマニュアル押出機は、通常のプラスチックよりも優れた特性を持つテクノポリマー製スクリューと、ステンレス製ノズルに直結したステンレス製ミキサー付きホッパーを備え、研磨性の高い材料のプリントに対応する。

WASPは、GLAMSプロジェクトで開発された材料を使って、3Dプリントによる大型建築構造物の試作品のプリントに成功した。また、製造技術の見本市Formnext 2024では、同材料で一連のモジュール部品を3Dプリントし、組み立てた構造体を発表した。

関連情報

Geopolymer 3D Printing | Sustainable Construction

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