- 2025-3-24
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- CZTS, CZTS太陽電池, Nature Energy, ケステライト太陽電池, タンデム型太陽電池, ニューサウスウェールズ大学(UNSW), パッシベーション, 学術, 次世代太陽電池, 水素処理

Photo: UNSW Sydney
オーストラリア、ニューサウスウェールズ大学(UNSW)は2025年1月28日、同大学の研究チームが次世代太陽電池として有望なケステライト太陽電池を使用し、13.2%という過去最高効率を達成したと発表した。
ケステライトは、銅と亜鉛、スズ、硫黄(CZTS)からなる天然鉱物であり、低コストでの製造も可能だ。CZTSは環境に優しく、長期間にわたって光電変換効率を維持するため、次世代の太陽電池材料として有望視されてきたが、開発は進んでいなかった。主な原因は、製造中にCZTS内に生じる欠陥による効率低下にあり、解決策が求められていた。
研究チームは、CZTS太陽電池デバイスを水素雰囲気下で熱処理する方法を製造工程に採用することで、課題を克服した。水素処理によって欠陥の影響を不活性化する、パッシベーションと呼ばれる技術により、CZTS太陽電池の効率を大幅に改善した。
研究チームは、1年以内にCZTS太陽電池の効率を15%にまで向上させ、2030年までに商業化への道を開けることを期待している。CZTSは、2つ以上の太陽電池を組み合わせて効率を向上させるタンデム型太陽電池としての利用も期待できるという。同研究成果は2025年1月13日、「Nature Energy」誌に掲載された。