- 2025-3-25
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- エネコートテクノロジーズ, ペロブスカイト太陽電池, 三菱マテリアル, 成膜用インク, 逆型構造, 電子輸送層

三菱マテリアルは2025年3月24日、エネコートテクノロジーズと共同で、従来の約1.5倍の発電効率を実現したペロブスカイト太陽電池向け成膜用インクを開発したと発表した。
三菱マテリアルによると、逆型構造のペロブスカイト太陽電池では、電子のみを集電板に運搬するための電子輸送層を、ペロブスカイト発電層にダメージを与えずに形成する必要がある。また、ペロブスカイト太陽電池の商用化に向けて、より低コストの材料や成膜方法を開発することが求められていた。
塗布型の成膜プロセスは製造コストに優れるが、成膜用インクの溶媒がペロブスカイト発電層にダメージを与えてしまうという問題があった。また、ダメージを与えないような有機溶媒中では、ナノサイズの酸化スズが凝集してペロブスカイト発電層との密着性が得られなくなってしまうことが課題となっていた。
今回開発した塗布型の電子輸送層成膜用インクは、酸化スズナノ粒子の表面を適切な材料で被覆している。これにより有機溶媒中に凝集させることなく分散させ、ペロブスカイト発電層に十分に密着した塗膜を形成することが可能になった。これを使用することでペロブスカイト発電層から生成される電子を金属電極に効率的に輸送できるようになり、発電効率が従来の約1.5倍の16.0%に向上した。