空調・温湿調整技術とは?
空調・温湿調整技術とは、空間を目的の環境に保つため、温度/湿度/気流/空気のよごれなどを制御する技術のこと。この技術を採用した代表的な機器が家庭用ルームエアコンで、省エネに配慮しながら居心地のよい居住空間を作るために使われる。エアコンは室内機と室外機で構成され、室内機のフィルターが空気の汚れを除去し、熱交換器が室外機から取り入れた空気を温めたり冷ましたりし、余分な湿気が除去された空気をクロスフローファンが送り出す。
他にも温度を制御する技術として、空気中の熱だけを集めて運ぶヒートポンプ、室外機と室内機の間を循環し熱の受け渡しをする冷媒制御、冷媒を圧縮し高温にする圧縮機、モータを制御するインバータが、湿度を制御する技術として、空気中の水分を集めて加湿する無給水加湿、高機能な湿度制御ができるヒートポンプデシカントなどが採用されている。また大型の建造物においては、大型のターボ冷凍機や吸収式冷温水機などを使用して、集中的に冷水/温水を大量に作り、専用の空気調和装置へ連続的に供給することで空調をする、エネルギー効率面や設備投資費用面で有利になる中央空調システムも注目されつつある。
空調・温湿調整技術を取り扱う企業は?
世界の空調機器市場は日本メーカーが主導しており、欧米メーカーの買収や提携、合弁会社の設立などが活発に進められている。日本メーカーの技術力は高く、高い省エネ性能や優れた操作性を備える家庭用ルームエアコン、店舗/オフィス向けのパッケージエアコンなどで他国に先行している。また、大規模な施設などにも対応できる超大型業務用空調機器による、総合的な空調事業のグローバル展開も可能な日本メーカーが増えている。
2014年10月には、東芝が米United Technologiesと業務用空調事業における戦略的提携に合意、空調業界で国内第2位の三菱電機は2015年8月、イタリアDeLclimaを子会社化することを発表、2015年10月には、日立製作所/日立アプライアンスが米Johnson Controlsと合弁会社を設立、世界最大の空調機器メーカーのダイキン工業のグローバル展開は他社に先駆けており、2006年にマレーシアのOYLインダストリーズを、2012年には米Goodmanを買収している。他にもパナソニックや富士通ゼネラルが、今後需要増が見込まれるグローバル市場に積極的に展開している。
空調・温湿調整技術に携われる求人は?
空調機器関連に対応できる開発者へのニーズが高い。職種はエアコンの制御ソフト開発、圧縮機の機種/要素技術開発、空調機ファン/風周りの研究開発業務など。他にも圧縮機モータ/ファンモータの設計、開発、研究、樹脂材料評価経験のある機械設計技術者など、ソフト開発からハード設計まで求人範囲は広い。海外市場での需要の高まりにより、海外生産拠点での開発や技術指導などの業務も付随する。また、クラウドシステムにより空調機をネットワーク接続し、全世界に省エネソリューションなど付加価値サービスを提供するIoTシステム構築向けに、モバイル系アプリの設計/開発者を募集する企業もあった。空調機の生産においても、要素部品の加工技術や機器の組立技術の開発者への求人もある。世界的に成長が見込まれる市場をリードする日本メーカーだけに、人材へのニーズは高いようだ。