- 2024-11-27
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- Distributed Face Cooling, サブナノ秒パルス, マイクロチップレーザー, レーザー装置, 三菱電機, 分子科学研究所, 加速器, 深紫外, 理化学研究所
三菱電機は2024年11月26日、理化学研究所および分子科学研究所と共同で、235mJの出力を有する小型のサブナノ秒パルス深紫外レーザー装置を開発したと発表した。
加速器は、原子や電子などに強い電界を加えることで、粒子の動きを加速させる装置だ。物体や人体の深部にまで粒子を送ることが可能で、新材料や新薬の開発、粒子線がん治療などに用いられている。
一方で、加速器は高出力のレーザー装置を要することから、加速器全体が大型化してしまう点が課題となっている。
また、レーザー技術は核融合の分野でも注目されているものの、レーザー核融合プラントではレーザーが建設コストの大部分を占めるとみられることから、低コスト化も求められている。
同社が今回開発したレーザー装置では、短パルス(約17億分の1秒)のマイクロチップレーザーを採用した。レーザー光を2Jまで増幅した後、深紫外となる波長266nmに変換する。
深紫外のレーザー放射に耐性を有する光学素子を用いたほか、ビーム径を最適化したことで、サブナノ秒パルスにおける深紫外出力が235mJに達した。同社発表によると、世界最高クラスだという。
また、レーザー媒質の発熱に対処すべく、冷却機能を担う透明ヒートシンクのサファイアとレーザー媒質を交互に接合する常温接合技術「Distributed Face Cooling」を理化学研究所、分子科学研究所とともに開発した。レーザー媒質の発熱は、レーザー装置の高出力化の妨げとなる。
同技術を用いた高排熱チップを用いたことで、高出力レーザーの常温動作が可能となった。低温冷却装置が不要となったため、レーザー装置のサイズが約1.0×1.2mと小型になっている。また、パルス出力も同等の装置と比べて2倍の速さになったという。
同社は今後も、レーザー加速技術の開発を継続し、レーザー装置のさらなる小型化を図る。