外部エネルギーなしで自律的に跳ねるように動くポリマーゲルを発見

米マサチューセッツ大学アマースト校は、2021年2月1日、自己推進可能な材料を発見したと発表した。研究者らは、ストリップ状のゲル片内部の液体が蒸発によって失われる過程で、ゲル片が跳ねるように動く現象を観察し、この現象を利用して外部からのエネルギー供給なしで自律的に繰り返し跳ね上がるゲルを作製したという。研究成果は『Nature Materials』に2021年2月1日付で発表されている。

研究者らは、厚さ0.2mmで大きさ5×60mmのポリジメチルシロキサン(PDMS)ゲル片を作製。ゲル片は、蒸発により内部の液体が失われていく過程で、自己エネルギーによってしなるようにゆっくりと動き、さらに蒸発が進むと、一瞬弾かれたような素早い動きを、時折見せた。このゲル片の動きは、飛び移り座屈(Snap-through buckling)として知られる動きで、自然界においてはバッタがジャンプするといった瞬発力が必要な動きで利用されている。

研究者らは、ゲル片の両端を固定して、ゲル片が乾燥する際の自己推進に関するデータを取得し、原理的な物理特性を把握した。その後、自ら制御するかのように繰り返されるこの素早い動きが発生するメカニズムについていくつかの可能性を考察し、ゲルをさまざまな形状に変えて実験を行った。

厚さ0.6mm、半径5mmのPDMSから成るゲルディスクを作製して実験したところ、揮発性の溶媒に浸したゲルディスクは凹状のシェルに膨らみ、溶媒の蒸発が進むにつれて中心部のくぼみが凸状に変化する動きによって、ディスクは溶媒が完全に蒸発するまでジャンプを繰り返した。ジャンプする動きは最大で15回も繰り返されたという。さらに、ディスクに同心円の溝パターンをレーザーカッターで刻んだところ、ゲルディスクのくぼみ方は大きくなり、より高くジャンプすることが確認された。

続く実験で、ゲルディスクが傾斜6度のスロープを下ることも確認され、この結果からゲルが垂直方向にジャンプする力が横方向にも変換されることが示された。そして、繰り返しジャンプできる性質を利用し、ゲルディスクが階段を上っていくことも確認できた。

今回の発見は、モーターやバッテリーなどのエネルギー源を備え付けることが難しい小型ロボットの設計に貢献することが期待され、玩具からロボット工学に至るまで、持続的な動きを必要とするさまざまな産業分野で役立つ可能性があると研究者らは語っている。

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