ダブルゲート構造を採用し、スイッチング損失を低減する逆導通型IEGTを開発 東芝デバイス&ストレージ、東芝

東芝デバイス&ストレージと東芝は2022年6月15日、電力の制御等に用いられるパワー半導体にて、世界で初めてダブルゲート構造を採用した4500V耐圧の逆導通型IEGTを開発したと発表した。電力のオンとオフが切り替わるスイッチング時の電力損失(以下、スイッチング損失)を24%低減する。

開発品は、メインゲート(MG)とは別にホール制御型のコントロールゲート(CG)を設けており、これまでのシングルゲート構造と比べ、導通損失を増加させずにスイッチング損失を低減する。

基板の裏面から表面に電流を流すIEGTモードの時は、MGより先にCGをターンオフ時にオフ。基板中に蓄積されていたホールを減らし、ターンオフ損失を減らす。基板の表面から裏面に電流を流すダイオードモードの時は、MGとCGを逆回復の直前に同時にオンする。これにより、基板中に蓄積された電子を減らして逆回復損失を減らす。

今回開発したダブルゲート構造の逆導通型IEGTとゲート制御技術を組み合わせ、デバイスを試作して実測。IEGTモードの損失であるターンオフ損失とターンオン損失が従来のシングルゲート構造と比べ、それぞれ24%、18%低減した。また、ダイオードモードの損失である逆回復損失は、32%低減。導通損失を増加させずにスイッチング損失を24%低減することを確認した。

スイッチング損失の低減効果(同社調べ)

大容量インバーター、高電圧直流送電(HVDC)システムなどで広く採用されているIEGTは、大電流化、低損失化、高効率化、省電力化が求められている。IEGTの電力損失は、IEGTがオン状態の際の電力損失(以下、導通損失)を低減させると、スイッチング損失が増えるトレードオフの関係にあり、改善が求められていることから、4500V耐圧の逆導通型IEGTを開発した。

両社は今後、ダブルゲート構造の逆導通型IEGTとゲート制御技術の開発を進め、2025年以降の実用化を目指す。

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