高価なプラチナ触媒を代替できる――貴金属フリーの高エントロピー合金を発見

独ルール大学ボーフム校(RUB)とマックスプランク鉄鋼研究所(MPIE)の研究者らは、プラチナ合金とほぼ同等の作用をする貴金属フリーの高エントロピー合金を発見した。プラチナに替わる安価な電極触媒として、燃料電池や空気電池への適用が期待される。研究結果は、2018年10月21日付けの『Advanced Energy Materials』に掲載されている。

高エントロピー合金とは、5種類以上の元素がほぼ同じ割合で混合し、高い混合エントロピーを持つ多成分系合金のことだ。個々の触媒特性は低くても、合金となることで優れた特性を示す可能性がある。これは「さまざまな隣接元素の相互作用を通して新しい活性中心が形成され、個々の元素とはまったく異なる新しい特性を示す」ためだと、研究チームは説明する。

酸化還元反応を促進する電極触媒材料には、昔からプラチナ合金が使われている。しかし、プラチナは高価で貴重なため、代替材料の開発は重要な関心事だ。今回RUBの研究チームは、新しい電極触媒材料を効率的に探すため、5つの元素の割合を連続的に変えることができる「コンビナトリアル同時スパッタリング手法」を採用し、イオン液体の基質中にナノ粒子合金ライブラリーを作成し、微小電極へ固定化した。

MPIEチームは生成したナノ粒子を透過型電子顕微鏡で解析し、RUBチームは触媒活性を測定してプラチナナノ粒子と比較した。その結果、クロム-マンガン-鉄-コバルト-ニッケルからなる合金の中にプラチナと同等の触媒活性を示すものを発見した。組成を最適化することで、さらに活性を改善することにも成功している。

また、5元素すべてによる相乗効果を確認するため、5元合金系から各元素を順に除去したところ、4元合金ではいずれも活性作用が著しく低下した。高エントロピー効果により、単一の固溶体相を形成したためと考えられる。

元素同士の相互作用について完全には解明されていないため、まだ自在に触媒材料を作り出すことはできない。研究チームは、「今回の知見は、高エントロピー合金の触媒プロセスを研究する基礎となる。一般の電極触媒にも大きな影響を及ぼすだろう」と語る。また、元素の組み合わせは無限といっても良く、酸化還元の触媒作用に限らず、さまざまな特性を持った材料を作り出すことができるかもしれない。研究チームは、すでに本研究に関連して特許を申請している。

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Noble metal-free catalyst system as active as platinum

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