画像認識から機械・制御設計・生産技術まで、アグリテックに携わるエンジニアに求められる技術とは[農業の未来を担うアグリテック]

メイテックネクスト 代表取締役社長 河辺真典氏


~ 大きく注目を集めつつある「アグリテック」に関する最新事情をエンジニアリングの視点から読み解く~

本記事は、エンジニア専門の人材紹介会社メイテックネクストの代表取締役社長 河辺真典氏と、東京営業部モビリティグル―プの杉山直紀氏への取材を通じて、アグリテックの最新事情をお伝えしていく連載記事です。

これまで、第1回目「日本の農業が抱える課題」、第2回目「アグリテックの課題と動向」をお伝えしてきました。

第3回となる本記事は、アグリテックに必要なエンジニアスキルについて、実際の参入企業の事例を中心に、お話を伺います。(執筆:後藤銀河)


――アグリテックにはどのような企業が参入しているのでしょうか。

[杉山氏]各社が注力しているのは、農業の生育でいえば、農薬散布から病理診断、収穫予測といった領域。収穫でいえばロボット化、自動化といった領域になります。最近、イチゴやアスパラガスに傷を付けずに収穫する技術を開発するベンチャーなどが出てきています。

データの共有化の面では、大手電気メーカーがプラットフォーマーとなっていますが、農業そのものに本腰を入れている企業は少ないようです。

[河辺氏]大手企業からのアグリテックに特化した求人は、あまり見かけておらず、全国規模では求人ニーズが顕在化していないと感じます。求人で多いのは、食品開発の専業メーカーや、アグリテックに価値を見出して飛び込んできているベンチャー企業で、マーケティングで言えばアーリーアダプターでしょう。

――ベンチャー企業の求人が多いようですが、具体的な内容をご紹介ください。

[杉山氏]農業用ドローンを中心に、生育状況から農薬散布などを手掛けるナイルワークスを例にご紹介します。

エンジニアの求人としては、まず画像処理画像認識、続いて自社開発するドローンの筐体設計制御設計、ドローンを量産化するための量産立ち上げ業務、加えてモバイルアプリやシステム評価といったものが、大枠で入っています。

ドローンで撮影した画像を使った診断では、収穫予測の精度を現状の80%ほどから90%、95%へと引き上げることが求められています。また、病理診断では、稲作を例にとると、葉に虫がついたのか、稲の病気なのか、田の水に原因があるのかなど、稲の症例のライブラリを整えるという部分です。

ドローンの制御では、アプリのボタンひとつ押すだけで、稲穂の上空30cmのところを誤差2cmくらいで飛行できるように求められます。これによって、俯瞰した風景と接写の部分の両方を撮影できるので、的確な収穫予測と病理診断が可能になります。

量産化についてですが、自社で生産工場を持たないファブレスのベンチャーであれば、生産は外部に依頼する必要があります。ナイルワークスの例では、長野にあるVAIOのEMS事業を利用して、製造委託しています。この場合、量産立ち上げのための生産工程の理解と、部品調達といった幅広い知識を持っているエンジニアが必要になってきています。

[河辺氏]ファブレスのベンチャーが、製造を業務委託する場合、購買もやらなければいけないし、品質も担保しなければならない。量産に適した設計への変更も、工場と話をしながら対応する必要がある。生産技術だけでなく、+αが求められています。

次回は、「アグリテック企業への転職成功事例」と題し、お話をお伺いします。

アグリテックおすすめ求人

電気・電子・半導体分野
機械メカトロ分野
IT分野
組み込みソフト分野
化学分野


河辺 真典(代表取締役社長)
生産技術エンジニアとして5年・リクルートエージェントで8年の勤務経験あり。
弊社のコンサルタントは、転職支援のノウハウと業界・技術知識の両方に長けております。
その上で、単に転職先を決めるだけでなく、
転職先でご活躍いただく「失敗しない転職」をご支援するように心がけております。


杉山直紀(メイテックネクスト 東京営業部モビリティグル―プ)
前職は輸入車ディーラーの営業を経験。入社後は一貫して企業向けの営業を担当。
現在は自動車業界向けのチームに所属。自動車業界と合わせドローン等の新しい技術領域のスタートアップ企業も担当。
日々新しい技術が生まれる中で、エンジニアの皆様が真に納得していただける転職を
サポートしたいと思います。



ライタープロフィール
後藤 銀河
アメショーの銀河(♂)をこよなく愛すライター兼編集者。エンジニアのバックグラウンドを生かし、国内外のニュース記事を中心に誰が読んでもわかりやすい文章を書けるよう、日々奮闘中。


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