ECUの変遷――自動車の進化と共に増え続けてきたECU、直近の課題は統合化

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AZAPA エンジニアリング株式会社 代表取締役社長 井村佳人氏


第1回目では「自動車の様々なシステムを制御するECUとは」と題してお話を伺いました。

第2回目の今回は「ECUの変遷」と題し、AZAPA エンジニアリング株式会社 代表取締役社長 井村佳人氏にお話を伺います。(執筆:後藤銀河)


――前回、ECUが最初に登場したのはガソリンエンジンの制御用途だったと伺いました。

[井村氏]自動車のパワートレインは、ガソリン、ディーゼルから始まり、今ではHV(ハイブリッド)、PHEV(プラグインハイブリッド)が主軸になっています。今後はこれがEV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)へと進化していきます。

完成車メーカーには、市場的にほぼ飽和状態にある日本やアメリカよりも、今後は中国での販売に注力していこうという動きがあります。この中国市場においては、特に自動車に関する規制が厳しくなっていることもあり、その中でガソリンやディーゼルから電動車へと、自動車の形態が大きく変わっていくでしょう。

自動車1台に載せるECUの数は増え続けており、ECUを載せるスペース、ECUとECUを接続するハーネスと呼ぶ配線を載せるスペースが限界に近づきつつあります。これに対応するため、「統合ECU」と呼ばれる新しいECUが出てこようとしています。

複数ECUの機能を集約する統合ECUが登場

――これまでエンジンやAT、エアバッグなど、システムごとに1個のECUが制御を受け持っていたことが、変わろうとしているのでしょうか?

[井村氏]統合ECUには、いろいろなECUの機能が集約されています。例えば、操作系統が集中する運転席の周辺では、ハンドルに付いているスイッチや、ダッシュボードのスイッチ周りなど、複数のECUが担っていた機能を1つのECUに集約することで、数を減らすことができます。こうした統合ECUを、欧州のサプライヤが開発しています。

特に、開発が急ピッチで進められている自動運転車では、さらに多くの制御機能が必要になります。自動運転のためのセンサーやカメラが増えて、カメラで撮った画像をリアルタイムで処理して変換しながらフィードバックする。こうした複雑な処理を行うために、ECUの機能はどんどん増えてきています。

最近の事例として、トヨタグループの主要部品メーカーの、アイシン精機、アドヴィックス、ジェイテクト、デンソーの4社が、自動運転の普及に向けた統合制御ソフトウェア開発の合弁会社「J-QuAD DYNAMICS(ジェイクワッド ダイナミクス)」を2019年4月に設立しました。自動運転・車両運動制御等のための統合制御ソフトウェアの開発、エンジニアリングサービスの提供を目的とした会社で、このように国内メーカーも、統合ECUの開発に乗り出してきています。

ECUの搭載数は、統合ECUの登場によって、一旦は減少するでしょう。その後、自動運転やコネクティッドの進化に伴う、さらなる新機能の登場によって、将来的には再び搭載数は増えていくだろうと見ています。

次回は、「最新のECU事情」と題してお話を伺います。


井村佳人(AZAPA エンジニアリング株式会社 代表取締役社長)
自動車のエンジンECU設計に深く携わり、エンジニアリング会社社長、SIerの経営を経て、2017年11月に同社に参画し、現職。OEMメーカーと共同で新規事業、研究開発などを手掛けている。

取材協力先

AZAPA エンジニアリング株式会社


ライタープロフィール

後藤 銀河
アメショーの銀河(♂)をこよなく愛すライター兼編集者。エンジニアのバックグラウンドを生かし、国内外のニュース記事を中心に誰が読んでもわかりやすい文章を書けるよう、日々奮闘中。


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