品質保証(QA:Quality Assurance)は、製品の品質を保証するために行われる一連の業務を指します。製造工程で不良品が発生していないかチェックするのは「品質管理」であり、品質保証の仕事の一部です。
品質保証の仕事では、製品がISOなどの国際標準を満たしているか、原材料調達・製造・出荷・販売時まで一貫して品質が保証できる体制にあるかをチェック、改善します。つまり品質保証はモノ作り全体を見渡す仕事です。
今回は品質保証の仕事について、具体的な仕事内容や向いている人の特徴についてご紹介します。
品質保証の基礎知識
そもそも品質保証とは何か、そして品質管理との違いについて解説します。品質保証はモノ作りの現場を支える重要な仕事ですので、基礎知識はしっかり押さえておきましょう。
品質保証とは
品質保証(QA:Quality Assurance)とは、製造出荷する製品の質を保証するために必要な業務で、品質が一定に保たれるように管理する仕事です。
具体的には、製品や原材料の安全性が保たれているか、出荷・販売に値する品質基準をクリアしているかなどを原材料調達から販売までの全工程に渡って管理します。また各工程の内容がISOなどの国際標準に照らして問題がないか、などもチェックします。
つまり品質保証の仕事は製造工程だけではなく、原料(材料)の調達、製造、出荷、販売と製品が消費者の手元に渡って使われるところまで責任を負い、各工程において品質が一定の水準をクリアしているか見届ける仕事です。
品質保証の仕事は製品の質の良しあしを判断するだけでなく、モノ作りの現場全体を支える仕事だと言えます。
品質保証と品質管理の違い
品質管理(QC:Quality Control)は製造工程における仕事で、品質保証の仕事の一部に含まれます。
品質管理は製造に関わる一つひとつの工程において、一定の水準を満たさない製品(不良品など)が出ていないか、検査・分析を行う仕事を指します。一方、品質保証は製品の企画段階から、製造工程、出荷、販売時まで、一定の品質が保たれていることをチェックする仕事です。よって品質管理は品質保証の仕事の一部と言えるでしょう。
品質保証の主な仕事内容
品質保証の主な仕事には、製品の仕様書や規格書の作成、品質調査、工程改善などがあります。ここではそれぞれの仕事内容を解説します。
製品の仕様書・規格書の作成
製品の仕様書・規格書とは、原材料の配合量や原産国、製造プロセスなどをまとめた書類のことです。仕様書(規格書)は商談や発売発表時に卸売業者や小売業者、外食業者などに配布されます。
取り扱う製品が食品の場合、製品に原材料や内容量、アレルギー表示などを示す一覧表(一括表示と呼びます)を印刷して貼りつけます。
一括表示は、書き方などが法律によって定められており、品質保証部門は一括表示に誤りが無いかどうか、法律の規定を満たしているかどうかもチェックします。
新製品を開発する場合、仕様書の段階で法律や国際規格に合った製品ができるかどうか、あらかじめ品質保証部門がチェックします。基準に合わない場合は、製品を企画する部署や製造する部署に対して、基準を満たすように改善の提案を行います。
原材料の品質調査
原材料の品質が一定の水準を満たしていないと、製造物の品質を保証することはできません。品質保証において原材料の品質調査はとても重要な仕事です。
実際の仕事では、原材料が品質を満たしていることを確認するデータの採取や、データによる品質保証の裏付け、品質を保証できると証明する報告書の作成などを行います。
データは客観性がなければいけませんので、実験データや各種論文を参照することがあります。また、場合によっては品質保証部門が実験を行う(外部に委託する)などして、図やグラフを用いた分かりやすい報告書を作成することもあります。
工程改善
原材料の仕入れから製造、出荷までの各工程において、品質を損なう要素がないかどうか確認する業務です。
工程改善業務では、各工程に求められる品質管理の流れや条件をまとめた「QC工程表」を作成して、各工程の責任者や担当者にQC工程表の順守を求めます。またQC工程表がきちんと守られているかどうか、品質保証部門が管理します。
もしどこかの工程で品質を損なうような異常が見つかれば、品質保証部門も協力して原因を究明、対策を立てます。
また製造工程において、不良品ができない仕組みを作ってロスを減らすことも品質保証部門の仕事です。
品質トラブルの対応
品質を原因とするクレームが発生した場合は、品質保証部門が顧客への対応を行うこともあります。いわば企業の顔に当たる業務であり、製品の品質を保証するだけでなく、万が一品質が損なわれていた場合には顧客への窓口として対応します。
営業部門などと連携して顧客の声を集め、製造工程などを中心に品質トラブルが起きないようにチェック・管理することも、品質保証部門の仕事です。必要に応じて製造工程や品質トラブルにかかわる工程を改善します。
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品質保証の仕事に向いている人の特徴
品質保証の仕事はチェックや改善提案、クレーム対応などが含まれるため、柔軟性や粘り強さ、そして学ぶ意欲が重要視されます。
トラブルに柔軟に対応できる
顧客からのクレームや、製造工程のトラブルに臨機応変に対応することができなければいけません。周囲の声に振り回されず、常に気持ちを切り替えながら「品質を一定に保つ」ことを目指して行動できることが重要です。
また多忙を極める製造現場でトラブル対応をすることもあるため、冷静に状況を理解しながら適切な対応をしなければいけません。
細かい仕事も手を抜かずに完遂できる
仕様書の作成やQC工程表が守られているかどうかのチェック、品質保証に関する報告書類の作成など地道な作業が多い仕事です。
また品質保証の裏付けとなるデータを探すことなど細かい仕事もあるため、丁寧に根気強く仕事を遂行する能力が求められます。
学習意欲が高い
品質保証の仕事は、製品はもちろん、製造工程や流通、法律などの幅広い分野に関する知識が求められます。
新しい製品作りや製品のリニューアルのたびに新たな知識を吸収しなければいけませんし、法律の改正によって品質保証の取り組みが変わることも珍しくありません。
よって製品や関係する法律について、常に新しい知識を取り入れながら仕事を進めることが必要です。
品質保証はやりがいのある仕事
品質管理は製造工程で不良品が発生していないか検査・分析する仕事のことで、品質保証は原材料の調達から製造工程、出荷、販売まで、一貫して製品の品質を一定に保つ仕事です。
よって品質保証においては、原材料や製造工程はもちろん、流通や法律など、製品にかかわるあらゆる知識が求められます。
品質保証の仕事を遂行するためには、常に新たな知識を学習する姿勢と、品質にかかわるクレームや製造工程のトラブルに対応できる冷静さと粘り強さが必要になるでしょう。
より良い安全な製品を顧客に届けること、そしてモノ作り全体を支える、やりがいのある仕事です。
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