【機械系エンジニア500人調査】製造業の現場で導入が進む3D CAD、CAE。業務の効率化だけでなく、エンジニアのキャリアパスに影響も

ポイント

  • 2次元CAD/CAM、3次元CAD/CAM、CAE共に製造業での導入率は上昇
  • 最も導入されている2次元CAD/CAMは「AutoCAD LT」、3次元CAD/CAMは「AutoCAD」、CAEは「SOLIDWORKS」
  • 各種ツールやシステムの導入により作業を効率化できる一方で、メンテナンスやランニングコストなどのデメリットも
  • 各種ツールやシステムを導入することにより「業務効率が大きく変わる」ことを実感(75.6%)

調査概要

エンジニアのためのキャリア応援マガジン「fabcross for エンジニア」は、製造業の企業で研究・設計・開発系(機械関連)の業務を任されているエンジニア500人を対象に、「仕事で利用するツール/システム」に関するアンケート調査を行いました。

働き方改革が意識されるようになった昨今、業務効率の改善を目指して2D、または3D CAD、CAE、PDM、PLMなどを導入している企業はどのくらい増えているのでしょうか。2016年に行った同調査の結果と比較することで、製造業の現場におけるツールやシステムの導入率の変化について調べました。

調査結果サマリー

2次元CAD/CAM、3次元CAD/CAM、CAE共に製造業での導入率は上昇

・各種ツール、システムの導入率について、前回行った2016年の調査と比較した結果、2020年は「生産計画/管理」を除く全ての項目で導入が進んでいることが分かった。
・2次元CAD/CAMの導入率は55.0%で、2016年より2.8ポイント上昇した。
・3次元CAD/CAMの導入率は67.2%で、2016年より0.6ポイント上昇した。
・CAEの導入率は33.8%で、2016年より1.8ポイント上昇した。

・各種ツール、システムの導入率について企業規模別に集計した結果、従業員数が増えるに従い、「3次元CAD/CAM」「CAE」の導入率が上がっていることが分かった。
・「3次元CAD/CAM」の導入について「1~100人」規模の企業では55.0%、「1万人以上」の企業では71.8%だった。
・「CAE」の導入について「1~100人」規模の企業では11.3%、「1万人以上」の企業では51.9%だった。
・一方「2次元CAD/CAM」の導入については「1~100人」規模の企業で70.0%、「1万人以上」の企業では42.7%と逆転している。


最も導入されている2次元CAD/CAMは「AutoCAD LT」、3次元CAD/CAMは「AutoCAD」、CAEは「SOLIDWORKS」

・2次元CAD/CAMを導入していると回答したエンジニアに使用ツール、またはシステム名を聞いた結果、「AutoCAD LT」が188人でトップとなった。
・以下2位「Jw-cad」72人、3位「MICRO CADAM Helix」63人、4位「CADSUPER」44人、5位「VectorWorks」35人、6位「頭脳RAPID」25人となっている。


・3次元CAD/CAMを導入していると回答したエンジニアに使用ツール、またはシステム名を聞いた結果、「AutoCAD」が136人でトップとなった。
・以下2位「SOLIDWORKS」69人、3位「CATIA V5」60人、4位「CATIA V6」47人、5位「Creo Parametric」30人、6位「NX」29人、7位「iCAD」26人、8位「Inventor」23人、9位「VectorWorks」19人、10位「Fusion360」14人、11位「Solid Edge」12人、12位「Mastercam」10人となっている。


・CAEを導入していると回答したエンジニアに使用ツール、またはシステム名を聞いた結果、「SOLIDWORKS」が74人でトップとなった。
・以下2位「ANSYS」50人、3位「CATIA」48人、4位「Nastran」28人、5位「Abaqus」25人、6位「NX」22人、同数6位「Inventor」22人、8位「LS-DYNA」15人、同数8位「Fusion360」15人、10位「Adams」14人、同数10位「ADINA」14人、12位「HyperWorks」13人、13位「Marc」12人、14位「Moldflow」11人となっている。

各種ツールやシステムの導入により作業を効率化できる一方で、メンテナンスやランニングコストなどのデメリットも

・各種ツールやシステムを導入したことによりどんなメリット、またはデメリットがあるか回答してもらった。

【メリット】
・NXを導入されたことでハード部品の設計が効率的になった(CAE 51歳・男性)
・CADツールではなく化学ツールでSimを実施し、研究開発にフィードバックできている(CAE 45歳・男性)
・CADのための研修プログラムをせずとも独学で使えるため、手描きの図面をCADに取り込み加工業者に依頼するなど、チーム全体の仕事が進みやすい(2次元CAD/CAM・3次元CAD/CAM・CAE 33歳・男性)
・図脳ラピッドでの図面作成は非常に楽だと思う。データ量もそんなに食わないので報告書には欠かせない(2次元CAD/CAM 58歳・男性)
・ソリッドワークスを導入していることで、顧客に3Dプレゼンができる(2次元CAD/CAM・3次元CAD/CAM 57歳・男性)
・3DCADを導入する事で設計からCG制作に対応できるので良いと感じている(3次元CAD/CAM 43歳・男性)
・JWWを導入していることで簡単に図面が書けて、他の人と共有するのも楽になった(2次元CAD/CAM 41歳・女性)
・社員一人ひとりの操作が共通化されることで管理が容易(生産計画/管理 54歳・男性)
CADを導入していることで、設備のレイアウトや製品設計を実際の値でできるので検討がしやすい(2次元CAD/CAM・3次元CAD/CAM 46歳・男性)
・社内で社員の行動を把握するために使用しています(3次元CAD/CAM・生産計画/管理 42歳・男性)
・スタンダードで使われているソフトウェアを使用することにより、顧客へのデータ受け渡しを容易にする(生産計画/管理 57歳・男性)
・SOLIDWORKSを使って3次元で作成すれば2次元図面ができる(2次元CAD/CAM・3次元CAD/CAM・PDM 47歳・男性)
・汎用作図機能を使って作業工程を確認するので、現場でスムーズに作業が進む(2次元CAD/CAM・3次元CAD/CAM 44歳・男性)
・SOLIDWORKSを導入していることで、3次元データをPDFにできて持ち運びに便利(2次元CAD/CAM・3次元CAD/CAM 35歳・男性)
・今は社内からの危機報告もあるので、セキュリティが高いゆえに使用する価値はあると思います(PDM・PLM 38歳・男性)
・CADを導入することで、図面作成作業の効率化が図れ、ベンダーやお客様とのデータ受け渡しが楽になる(2次元CAD/CAM 33歳・男性)
・CAD/CAMを使用することによりスポンジ加工作業の作業効率が向上し、人件費削減につながっている(3次元CAD/CAM 42歳・男性)
・残業時間が減った(2次元CAD/CAM・3次元CAD/CAM 38歳・男性)

【デメリット】
・CATIAを導入していることで図面が読めなくなった(PDM・PLM 54歳・男性)
・メンテナンスに時間を取られすぎている(生産計画/管理 52歳・男性)
・AUTOCAD(BricsCAD)を導入している。使い勝手は悪くないが、部品登録等自分でしないといけない点を面倒に感じる(2次元CAD/CAM・3次元CAD/CAM 46歳・男性)
・自社開発のCAEツールを使用しているが、OrCADからのネットリストしか受け付けなかったり、他のシミュレーションツールと連携できなかったり使い勝手が悪い(2次元CAD/CAM・CAE 54歳・男性)
・CIM/BIMを導入しているが、操作できる人が私だけなので負担が大きい(2次元CAD/CAM・3次元CAD/CAM・PDM 53歳・女性)
・CATIAを導入すると3Dモデルをすぐにつくれるようになりますが、事前に設計思想を考えておかないと単なるモデルづくりになってしまい自社の考え方を得意先に説明できないというデメリットがあります(2次元CAD/CAM・3次元CAD/CAM・CAE・PLM 37歳・男性)
・保守費用が高い(2次元CAD/CAM・3次元CAD/CAM・CAE 46歳・男性)
・アップグレードの作業が面倒(2次元CAD/CAM・3次元CAD/CAM 37歳・男性)
・NXを使用している。社内統一ツールであることは良いが、デザイナーとして使うには重過ぎたり動きが悪かったりするのが不満。メニューが多過ぎる。設計用に設定された精度が細か過ぎて簡単に形状がつくれないのも不満。リモートで起動して使っているが、その時にグラフィックが崩れやすいのも不満(3次元CAD/CAM 45歳・男性)
・自分で不具合対応ができない(3次元CAD/CAM 34歳・男性)
・ANSYSを導入していることで、静的な力学解析をしているが、動的な力学は使いこなせていない。分かりづらい(2次元CAD/CAM・3次元CAD/CAM 39歳・男性)
・新しいツールを導入するにあたってマニュアルや教育もあるので、完全にシフトするまでの作業工数が想像以上に多かった(PDM・生産計画/管理 35歳・男性)
・SOLIDWORKSについては客先データに対応していない。3Dの中でも不便さを感じる。利用出来る範囲が狭い(2次元CAD/CAM・3次元CAD/CAM 31歳・女性)
・パソコンが重くなる(2次元CAD/CAM 42歳・男性)

各種ツールやシステムを導入することにより「業務効率が大きく変わる」ことを実感(75.6%)

・各種ツールやシステムの導入について「業務効率が大きく変わる」と回答したエンジニアが75.6%と最も多くなった。
・「今後のキャリアパス(職務の変遷)に大きな影響を与える」と回答したエンジニアは59.2%だった。
・「細かな特徴・機能まで深堀りして使いこなせるようになりたい」と回答したエンジニアは59.0%だった。


【調査概要】
調査方法:ネットリサーチ
期間:2020年1月10日~1月11日
2020年2月17日~3月15日
対象:研究・設計・開発系(機械関連)の業務に就くエンジニア500人


–メディア関係の皆様へ—
本調査データは、ぜひ記事などでご自由にご活用ください。
記事での紹介・引用時には、エンジニアのためのキャリア応援マガジン「fabcross for エンジニア」調べ、など、調査元を明記ください。
Webサイトでご紹介いただく際は、本記事のURLを貼っていただけると幸いです。

グラフデータは当ページからダウンロードいただくか、より高画質のデータをご希望でしたら、お問い合わせページよりご連絡ください。
—————————-

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る