ロームは2021年4月8日、各種電源回路向けに、150V耐圧のGaN HEMT(以下、GaNデバイス)の8V高ゲート耐圧(ゲート・ソース定格電圧)技術を開発したと発表した。この技術を用いたGaNデバイスの開発を進め、製品サンプルを2021年9月に出荷する予定だという。
GaNデバイスは、ゲート・ソース定格電圧が低く、スイッチング時に定格を超えるオーバーシュート電圧が発生することがあり、デバイスの信頼性に大きな課題があった。同社は今回、独自構造の採用により、ゲート・ソース定格電圧を一般的な6Vから業界最高という8Vまで高めることに成功。これにより、デバイス動作時の電圧マージンが3倍になり、スイッチング時に6Vを超えるオーバーシュート電圧が発生してもデバイスが劣化しなくなった。
今回開発したGaNデバイスは、信頼性や実装性に対する実績が確立され、放熱性に優れた汎用性の高いパッケージを採用することで、既存シリコンデバイスからの置き換えや実装工程でのハンドリングを容易にした。また、銅クリップ接合のパッケージ技術を用いて寄生インダクタンス値を従来パッケージから55%低減したため、高周波動作を想定した回路設計時にデバイスの性能を最大限引き出せる。
さらに、ゲート・ソース定格電圧の拡大や低インダクタンスパッケージを採用しながらデバイスの性能を最大限引き出すことで、スイッチング損失をシリコンデバイスと比較して約65%低減することに成功している。