被削性や靭性に優れた冷間ダイス鋼を開発 日立金属

日立金属は2021年8月19日、優れた被削性や靭性を持つ冷間ダイス鋼の新製品「SLD-f」を開発し、同月から本格的な量産を開始したと発表した。

SLD-fには、切削の際に工具を保護するベラーグを発生させる成分が含まれるほか、工具の摩耗の原因となる粗大炭化物も微細化してある。このため、代表的な冷間ダイス鋼である「SKD11」標準切削条件と比べたところ約3.5倍の効率で切削が可能になった。これによって切削加工の速度向上や金型加工の時間短縮が期待できる。

また、高い靭性も兼ね備え、耐久性や加工の際の耐チッピング性にも優れている。高温焼き戻しを行う場合も安定した硬さを得られ、PVD 処理による加工の際も寸法変化を抑制できる。

近年、自動車骨格に使われるプレス部品には、衝突安全性の向上や軽量化のため高張力鋼板(ハイテン鋼板)が使用されるが、強度や硬度がより高くなっていることから、加工時に金型が受けるダメージの大きさが課題となっている。また、サプライチェーン全体の製作リードタイム短縮も求められている。同社は、SLD-fにより金型に関わるトータルコスト低減へのソリューションを提供するとしている。

SLD-fは島根県安来市の安来工場で製造される。また、SLD-fを60HRC級に熱処理した、型彫り可能なプリハードン金型材「SLD-f 60」も併せて販売する。

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