難燃性イオン液体とマグネシウム塩から、Mgイオン伝導性分子結晶を作製 静岡大

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静岡大学は2022年5月6日、同大学の研究グループが難燃性のイオン液体とマグネシウム塩からなるマグネシウム(Mg)イオン伝導性分子結晶の開発に成功したと発表した。同大学は全固体マグネシウム二次電池の実現に必要な、安全で高性能な固体電解質材料の開発につながる発見だとしている。研究成果は5月3日、米国化学会誌Inorganic Chemistryにオンライン掲載された。

研究グループは、Mg(TFSA)2をイオン液体(N1111TFSAまたはN1122TFSA)と無溶媒条件、アルゴン雰囲気下においてモル比1:1で混合。加熱して無色透明の融液にした後、融液を室温まで冷却することで無色透明の単結晶を作製した。

研究グループでは、この単結晶を粉砕し加圧成型したペレットを使って、分子結晶の伝導度を測定。その結果、30度から80度の温度範囲でイオン伝導が確認された。また、金属マグネシウムを電極に用いて分子結晶のMgイオン輸率を測定した結果、Mgイオン伝導性を持つことも確認した。

研究グループは、再生可能エネルギーの活用に必要な革新的な蓄電池の開発に向け、Mgイオン伝導性を示す固体電解質を用いた全固体Mg二次電池の研究に取り組んでいる。しかし、これまで固体中でMgイオンを高速に拡散させる固体電解質材料として適切なものは見つかっていない。有望なものとして、セラミックス材料を中心に研究が進められているが、これらの材料ではMgイオン伝導に数百度の高温条件が必要で実用化への課題となっている。

このため、研究グループは「分子結晶」(結晶性有機物)に注目し、最近では室温付近でMgイオン伝導性を示す新規分子結晶の作製に成功した。しかし、有機分子には可燃性があり、安全性の課題があった。

今回、作製に成功した分子結晶は難燃性のイオン液体を用いているうえ、80度程度の加熱条件下で高いMgイオン伝導性が発現。安全性の向上と高いMgイオン伝導性の促進を両立できることが分かった。研究グループでは「さらに高い安全性と高速Mgイオン伝導性を両立する固体電解質材料を探索し、全固体Mg電池の実現を目指す」としている。

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