xEV向けインバータ用パワー半導体として新世代Si IGBTを開発 ルネサス

ルネサス エレクトロニクスは2022年8月30日、電動車(xEV)向けのインバータ用パワー半導体として、新世代のシリコン(Si) 絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)を開発したと発表した。ラインアップは400V/800Vインバータに対応した750V耐圧(220A、300A)、1200V耐圧(150A、200A)の4製品を予定しており、第一弾となる750V耐圧、300A品のサンプル出荷を開始した。

開発した新世代プロセス(AE5)製品は、電力の損失を現行の量産プロセス製品(AE4)と比べ約10%改善している。オン電圧Vce(sat)は業界最高レベルとなる1.3V@300A。また、壊れにくさ(破壊耐量)を維持したまま、約10%小型化している。チップサイズは100mm2/300A。トレードオフの関係にある損失の低減と壊れにくさを両立したため、IGBTとして業界最高レベルの性能を発揮する。

さらに、特性ばらつきVGE(off)を±0.5Vと低減し、並列接続時のアンバランスを改善。モジュール搭載時の安定性、安全性を向上している。これらにより、インバータ性能の向上と小型化に加え、設計の自由度を向上する。

動作温度(Tj)-40~175℃の全温度範囲で安定した性能を発揮。最大動作温度の175℃時に、ICパルス600Aでの逆バイアス安全動作領域(RBSOA)を保持する。また、短絡耐量4μs@400Vを備えた高ロバスト耐性を保持する。

ゲート抵抗Rgの温度依存性は50%低減。高温時のスイッチング損失を低減し、低温時のスパイク電圧の抑制や短絡破壊耐量の低下を抑制する。開発品の使用により、同社従来プロセス比、同電流密度時に、インバータの損失で最大6%の低減が期待できる。

ベアダイ(ウェハ)にて提供。量産は、那珂工場の200mm、300mmラインで2023年上期に開始する。2024年上期以降は、新設するパワー半導体の専用工場である甲府工場の300mmラインでも順次量産を開始する。

同社では、xEVインバータソリューションとして、実用的なハードウェア設計「xEVインバータリファレンスソリューション」、このリファレンスを実際にハードウェア化した「xEV 向けインバータキット」を提供。さらに、サンプルアプリケーションモデルとサンプルソフトウェア「xEVインバータ アプリケーションモデル&ソフトウェア」も提供している。今後、同ソリューションにも新世代IGBTを搭載する。

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