高効率で長寿命な赤色量子ドットLEDを発表――高い吸着性をもつグアニジウムを導入 山形大学

山形大学は2023年7月11日、高効率で長寿命な赤色量子ドットLEDを発表した。ペロブスカイト量子ドットの精密なサイズ制御とグアニジウム置換により、優れた構造安定性を有するCsPbI3量子ドットを合成したことで、開発に成功した。

ペロブスカイト量子ドットは近年、高輝度材料として注目されている。しかし、柔らかい結晶格子を有するハロゲン化鉛ペロブスカイト量子ドットは、極端に小さい、または大きなイオンサイズをもつ元素から構成されているため、格子歪みや構造相転移が生じ、発光性能の低下が課題となっている。

赤色発光のCsPbI3量子ドットは、優れた発光量子収率と電荷輸送特性を示すが、イオンサイズの小さなCsカチオンにより、結晶格子の歪みや非光活性相への構造相転移が課題となっている。また、量子ドットは、発光性能がイオン脱離やイオン拡散により低下する。研究では、結晶格子歪みの緩和と、量子ドット表面の安定化に着目した。

研究では、平均粒径6~12nmのCsPbI3量子ドットを合成。結晶構造と光学評価を実施したところ、小粒径化されたCsPbI3量子ドット(平均粒径8nm)は、光活性相の立方晶構造を形成し、斜方晶への相転移が抑制された。

異なる温度で合成したCsPbI3 QDsの
a-c:透過型電子顕微鏡画像 およびd:X線回折スペクトル

また、遷移エネルギーと平均粒径の依存性を検証した結果、量子閉じ込め効果が平均粒径10nm以下で発現した。大粒径CsPbI3量子ドット(平均粒径12nm、発光量子収率5%)に比べ、小粒径化されたCsPbI3量子ドット(平均粒径8nm)は、相安定化と量子閉じ込め効果により、比較的高い発光量子収率(36%)を示した。

研究ではさらに、量子ドット表面への高い吸着性を有するグアニジウムを導入。材料安定性が大幅に向上した。量子ドット表面へのグアニジウムの吸着エネルギーを算出した結果、一般的な配位子のオレイルアンモニウムに比べ、高い吸着エネルギーを示した。3つの窒素を有するグアニジウムは、大気下と光照射下でのフォトルミネッセンス量子収率(PLQY)の安定化を達成している。

a:QD表面におけるオレイルアンモニウム (OAm+) およびグアニジウム (GA+) の電荷密度と吸着エネルギー。未処理またはグアニジウム置換処理後のCsPbI3 QD薄膜のb:大気安定性試験(湿度~30%) およびc-d:光安定性試験

さらに、発光層に、高い材料安定性を示したGAI-CsPbI3量子ドットを用いたLEDは、外部量子効率22.5%、輝度半減寿命10.5時間(初期輝度128時間)を達成。ペロブスカイト量子ドットLEDの高効率かつ長寿命を達成した。

CsPbI3 QD-LEDのデバイス特性
a:電流密度-外部量子効率特性、b:定電流密度測定 (5.0 mA/cm2) によるデバイス耐久寿命測定

開発した赤色ペロブスカイト量子ドットは、高精細ディスプレイやレーザー、光センシングなど次世代のオプトエレクトロニクス技術への応用が期待されている。

関連情報

次世代の高性能赤色ペロブスカイト量子ドットLEDの開発 ~量子ドットのサイズ制御とグアニジウム置換による赤色量子ドットの開発~|新着情報:プレスリリース|国立大学法人 山形大学

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