二酸化炭素を従来の2倍捕捉できる溶媒を開発

image: Cortland Johnson | Pacific Northwest National Laboratory

米パシフィック・ノースウェスト国立研究所(PNNL)を中心とする共同研究チームが、石炭火力発電所から排出される二酸化炭素(CO2)を効率的に捕捉し、価値ある製品に変換できる溶媒を発見した。CO2の回収/貯蔵方法の開発は、世界的な緊急課題である地球温暖化の抑制につながる。回収したCO2を経済価値のある製品に変換できれば、回収コストを相殺し、炭素循環社会への大きな一歩となる。

同研究成果は2024年4月8日、「Nature Chemistry」誌に掲載された。

研究チームは、CO2を効率的に回収できる溶媒を開発しており、これまでにさまざまな分子を設計し、溶剤のコスト低下と効率向上に取り組んできた。今回研究チームが開発した溶媒は、これまでの溶媒よりも2倍多くのCO2を保持できる可能性を示した。

研究チームは、溶媒によるCO2回収実験とモデル計算を組み合わせた研究により、CO2回収が溶媒分子4個からなるクラスターの自己集合を伴うことを見いだした。溶媒クラスターは1分子ずつ段階的にCO2を取り込む。研究では、1分子のCO2がクラスター内に結合すると、2分子目の結合様式を変える協同効果が示された。

協同効果により、いったんCO2分子が溶媒クラスター内に取り込まれると、互いに反応してさまざまな炭素系分子に変化できる可能性があり、合成用途が拡大する。結合した分子は、CO2とはまったく異なる性質を持ち、メタノールやメタンを含む燃料や高分子を含む有用な化学物質合成への第一歩になるという。

PNNLのDavid J. Heldebrant博士は、「私たちはこれまで、CO2を単独で回収してきました。2つのCO2が結合すると、回収システムの貯蔵容量が倍増します」と説明した。

関連情報

Finding New Chemistry to Capture Double the Carbon | Feature | PNNL

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