- 2025-1-17
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- Android, Excel, iOS, OS(Operating System), OTA(Over The Air)アップデート, ROM(Read Only Memory), UEFI(Unified Extensible Firmware Interface), UI(ユーザーインターフェース), Windows, Word, ファームウェアBIOS(Basic Input/Output System), ファームウェア(firmware), フラッシュメモリ, 脆弱性(セキュリティホール)
電子機器を使っていても、ファームウェアの存在を意識している人は少ないかもしれません。ソフトウェアの中でも目立たない存在ですが、電子機器を正常に動作させる重要な役割を担っているのがファームウェアです。
この記事では、ソフトウェアの一種でありながら認知度が低い理由、ハードウェアとの関係、他のソフトウェアとの違い、更新の重要性など、ファームウェアの疑問について解説します。
ファームウェアとは?
ファームウェア(firmware)とは、PCをはじめとする電子機器に組み込まれたソフトウェアで、ハードウェアの基本的な動作を制御します。ソフトウェアの中でもハードウェアに近い性質を備え、通常は変更を想定していないことから、「硬い」や「固定の」を意味する単語「ファーム(firm)」が使われています。電源を切っても記憶した情報が消えないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどの記憶装置に、あらかじめ書き込まれた状態で出荷されます。
PC向けの代表的なファームウェアBIOS(Basic Input/Output System)は、ハードウェアを制御してOS(Operating System)が動作できるようにするプログラムです。CPUやメモリ、ストレージなどのハードウェアが正しく動作するように初期化し、初期化が完了するとOSの起動を開始する役割を担います。近年ではBIOSを拡張し、機能とセキュリティをより高度化したUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)の普及が進んでいます。
ファームウェアとOSとの違い
ファームウェアもOSもソフトウェアの一種です。ソフトウェアはコンピューターを動かすためのプログラム全般を意味し、他にもドライバー、ミドルウェア、アプリケーションなどの種類があります。
ファームウェアはハードウェアに最も近く、製造元が機器にインストールしてから出荷されるという特徴があります。PCを起動すると、まずファームウェアがハードウェアを制御し、OSが動作できる状況を整えます。
OSは、PCなどを動作させるための基本的なプログラムで構成されることから、「基本ソフトウェア」とも呼ばれます。WindowsやiOS、Androidなど種類別に名称があり、UI(ユーザーインターフェース)を介して操作できるため、多くの人にとって馴染みのあるソフトウェアです。一方で、OSを動作させるために不可欠なファームウェアが意識されることはあまりなく、重要ながら目立たないものとなっています。
ドライバーはファームウェアと同じくハードウェアを制御する役割がありますが、OSが稼働する前に制御するファームウェアに対し、ドライバーはOSが稼働した後にプリンターや外付けハードディスクなどの周辺機器を制御します。また、同じソフトウェアでもハードウェアから最も遠いのがアプリケーションで、WordやExcelなど特定のタスクの実行を目的としています。他にも、OSとアプリケーションの連携を支援するミドルウェアや、家電などを制御する特定用途の組み込みソフトウェアなどがあり、ソフトウェアは種類により役割が異なります。
ファームウェアの更新は行うべきか?
多くのソフトウェアは、定期的に配布される更新ファイルでアップデートしますが、ファームウェアは基本的に製造元があらかじめインストールしており、ユーザーによる内容の書き換えは想定していません。ただし、内容に変更がある場合は、製造元が提供する新しいプログラムをダウンロードして更新する必要があります。
ファームウェアの更新が必要な理由の1つに、セキュリティ対策が挙げられます。ファームウェアに脆弱性(セキュリティホール)が見つかった場合、サイバー攻撃のリスクを低減するために、すぐに更新ファイルをインストールしてプログラムを修正しなければなりません。
また、ハードウェアが動作不良を起こす可能性があるバグや不具合がファームウェアに見つかった場合や、新機能が追加される場合も更新が求められます。更新せずに利用し続けていると重大な問題が起こる可能性があるため、ファームウェアの更新ファイル配布の通知を受け取ったらすぐにダウンロードして、最新の状態を保つことが重要です。
ファームウェアのアップデートの注意点
ファームウェアを更新する方法はハードウェアによって異なり、PCなどインターネット接続に対応する機器では、OTA(Over The Air)アップデートにより自動で更新する場合もあります。そうでない場合は、メーカーのページで新たなファームウェアが公開されていないか確認しましょう。
ファームウェアの更新が必要かどうかを知るには、機器に記載されているバージョンと、メーカーが公開しているファームウェアのバージョンを確認します。ファームウェアのバージョンが古い場合は、新しいバージョンのファイルをダウンロードして更新します。更新方法はハードウェアごとに異なるため、取扱説明書やWebサイトのサポートページの手順を参照して進めましょう。
また、製品のユーザー登録をすれば、ファームウェアの更新情報を受けられるので便利です。
ファームウェアの更新は、通常のソフトウェアのアップデートより時間がかかりますが、中断すると正常な動作ができなくなる可能性もあるので、途中で電源を切らないよう注意が必要です。
まとめ
ファームウェアは製品が出荷される段階から書き込まれており、ユーザーが自らインストールやアンインストールをしないため、具体的なイメージを掴みにくいかもしれません。それでも、電子機器の電源を入れると最初に動作するプログラムがファームウェアだと知ると、その重要性に気づくはずです。役目を終えるまでファームウェアの更新をする必要がない機器もありますが、機器によっては脆弱性や不具合の改善のために更新が必要な場合があることを認識しておきましょう。
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fabcross for エンジニア 編集部
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