高性能で低コスト、持続可能な「紙」バッテリーをCESで展示 シンガポールのFlint

独自の「紙」バッテリー技術を開発しているシンガポールのFlintは、米ラスベガスで2025年1月7日から10日まで開催された電子機器の見本市「CES 2025」において、高性能で低コスト、持続可能な独自の紙バッテリーのプロトタイプと製品を紹介した。

さまざまな機器やツールの動力源であるバッテリーは、環境破壊や有毒廃棄物、大量の二酸化炭素排出といった代償を伴うことが多い。

それに対し、Flintは従来のバッテリーよりも安全かつクリーンで、柔軟性とコスト効率に優れた次世代充電式紙バッテリーを開発している。この新しい紙バッテリーにはセルロース紙、亜鉛、マンガンなどの天然で無害な素材を使用しており、従来のバッテリー技術の有害な成分を使っていない。ライフサイクルの最後には完全に堆肥化できるため、簡単かつ安価にリサイクル可能で、電子廃棄物を最小限に抑え、環境への影響を低減できる。

この紙バッテリーは曲げたり折りたたんだりできるため、ウェアラブル機器、IoTデバイス、医療用センサーに適している。また、Flintのコア技術は、アノードとカソードの両方における技術的な進展を含むもので、独自の電解質とセパレーターにより、極限条件下での性能、安定性、安全性を向上している。穴が開いたり、曲がったり、損傷したりしても機能を維持でき、過酷な条件下でも火災の危険性がほとんどない、といった特長がある。

さらに、これまで環境にやさしい製品は高コストになりがちだったが、低コストの原材料とスケーラブルな生産工程を活用することで、標準的な電池のタイプや用途で競争力のある価格を可能にした。

Flintは防衛および安全保障、電気自動車(EV)、宇宙開発といった分野の企業からの関心を集めており、2024年末にはシード資金200万ドル(約3億1300万万円)を調達したと発表している。

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