- 2025-2-17
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- GHG, サプライチェーン, トレーサビリティ, 国際規格, 実証実験, 川崎重工, 排出量, 水素, 水素プラットフォーム, 温室効果ガス, 炭素集約度
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川崎重工は2025年2月14日、同社が開発を進めている水素取引のデジタル管理システム「水素プラットフォーム」の実証実験を終え、温室効果ガス(GHG)排出量を算定する方法が、国際規格(ISO/TS19870:2023)に則していることを確認したと発表した。今後は、低炭素水素の認証支援や水素取引支援などの方法を検討し、2028年頃のプラットフォーム商用化を目指す。
脱炭素の実現に向け、水素の供給や利用が進む中、水素の製造から流通、利用までサプライチェーン全体でのGHG排出量を把握し、管理する仕組みが求められている。このため、同社では水素事業者や利用者向けに、GHG排出量や取引データ、情報などを一元管理して、水素取引を円滑にするプラットフォームの構築とサービスの提供を計画しており、昨年4月から実証試験を行っていた。
実証試験は、大林組が地熱由来水素利活用の実証事業を行っている大分県九重町で行われた。同事業では、地熱発電所の電力から水素を製造し、容器に充填後、トラックで水素ステーションまで輸送しており、水素は燃料電池自動車に充填される。
実証試験では、製造に使われた電力消費量や容器の輸送の実走行距離などの排出源のデータに加え、水素量に関わるデータをセンサーや伝票などから取得して、GHG排出量や水素の炭素集約度(1単位あたりのGHG排出量)を算定。第三者認証機関であるDNVの支援を受けながら、算定方法が国際規格に則したものであることを確認した。
同社では「GHG排出量や炭素集約度の評価と管理」「水素の所在地や属性情報管理によるトレーサビリティの確保」の2つのサービスをベースに事業化を図る計画で、商用化に向けた具体的な検討を進めていくとしている。