化学結合の切断を利用した迅速な自己強化材料を開発 北海道大学

北海道大学の研究グループは2025年2月27日、化学結合の切断を利用した迅速な自己強化材料を開発したと発表した。筋肉トレーニングのように、材料が使用されながら強化される。

一般的に、材料内の化学結合が切断されると強度が低下し、破壊が進行するが、自己強化材料はこの「化学結合の切断」を逆手に取っている。結合の切断で発生する「機械的ラジカル」を積極的に活用しており、材料内で新しい高分子ネットワークをラジカル重合で形成させ、使用中に自己強化を実現する。

この自己強化能力を持つ材料は、硬くもろい第1ネットワークと、柔軟で伸縮性のある第2ネットワークからなる「ダブルネットワーク(DN)ゲル」と呼ばれている。しかし、従来のDNゲルは、機械的ラジカルの生成量が少なく、ネットワーク形成速度が遅いため、一般的な変形速度では迅速な強化を達成できないという課題があった。

この課題を解決するため、犠牲結合として第1ネットワークに「弱い共有結合」を導入した。この結合は負荷時に容易に切断され、大量の機械的ラジカルを生成する。この高濃度のラジカルが新しい高分子ネットワークの形成を促進し、従来の100倍の速度でネットワークを形成した。これにより、材料は短時間で強度を増し、効果的に亀裂進行を抑制できるようになった。

このアプローチは、他のポリマーマテリアルにも応用できる。迅速かつ効率的な強化を通じて、耐久性や疲労耐性を備えた構造材料の開発が期待されている。

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