- 2025-2-28
- 技術ニュース, 機械系, 海外ニュース
- ST40, Tokamak Energy, サイクロトロン共鳴周波数, プラズマ, マイクロ波, 中央ソレノイド, 京都フュージョニアリング, 実験用トカマク型核融合炉, 核融合技術, 核融合発電所, 燃料加熱技術, 米国エネルギー省(DOE), 英国エネルギー安全保障/ネットゼロ省(DESNZ), 超伝導コイル, 電子サイクロトロン共鳴加熱(ECRH: Electron Cyclotron Resonance Heating), 高出力ジャイロトロン

核融合技術を開発する英Tokamak Energyは、2025年1月21日、核融合発電所で使用する重要な燃料加熱技術として、同社の実験用トカマク型核融合炉「ST40」に高出力ジャイロトロンを導入する計画を発表した。
ジャイロトロンは、強い磁場内で電子を加速してマイクロ波を放射する装置だ。マイクロ波は核融合燃料のプラズマに送られ、プラズマ中の電子のサイクロトロン共鳴周波数と一致するように周波数が調整される。これによりプラズマが加熱され、融合炉を駆動する。
ジャイロトロンは、電子サイクロトロン共鳴加熱(ECRH: Electron Cyclotron Resonance Heating)を利用することで、超伝導コイルの「中央ソレノイド」を小型化できる。中性粒子ビーム加熱方式では装置本体の近くに設置する必要がある一方で、ジャイロトロンは装置本体から距離を置いて設置できる。ST40ではこの2方式を併用して、制御システムや加熱バランスを研究している。
今回の機能追加は、米国エネルギー省(DOE)、英国エネルギー安全保障/ネットゼロ省(DESNZ)、およびTokamak Energyという組織間の協力を補完し、ST40の内壁の材料にリチウムを試用するなど、先行プラント設計に資する技術の成熟を目指している。
ジャイロトロンを製造した京都フュージョニアリングのCEO 小西哲之氏は、同プロジェクトが日英間の協力関係を象徴し、持続可能な融合エネルギーへの重要な一歩になると述べた。
Tokamak Energyの戦略的パートナーシップ担当ディレクターであるRoss Morgan博士は、同社の「2030年代にクリーンで無限の核融合エネルギーを商業化する」という理念に基づいて、将来のパイロットプラントの設計に資する重要なデータを提供すると述べた。