窒素とホウ素で強化した鉄/クロムレドックスフロー電池

CREDIT: GREEN ENERGY AND INTELLIGENT TRANSPORTATION

中国石油大学は2024年6月5日、同大学の研究チームが、鉄/クロムレドックスフロー電池用の窒素/ホウ素ドープ複合電極を開発したと発表した。同電池は、大規模なエネルギー貯蔵システムとしてレドックスフロー電池の実用化を促進するという。

レドックスフロー電池は、イオンの酸化還元反応を溶液のポンプ循環によって進行させ、充電と放電をする二次電池だ。太陽光や風力などの再生可能エネルギーを貯蔵する大規模用途として開発が進められている。現在、実用化されているバナジウムイオンのレドックスフロー電池は、容易に製造できる反面、バナジウムの希少性とコストに課題を持つ。

そこで、注目されているのが、安価で資源の豊富な鉄とクロムを使用したレドックスフロー電池だ。しかし、鉄/クロムレドックスフロー電池に使用される炭素布電極は、電気化学反応性とエネルギー効率の低さに欠点を持つ。

研究チームは、電池性能を向上させるため、ホウ素と窒素をドープしたチタン複合炭素布電極を開発した。チタン触媒を電極に統合し、高温焼成技術を適用することで、電気化学特性を向上した電極を作製し、電池の反応性と効率向上に成功した。

改良した電極は、50回の充放電サイクル後、1990.3mAhの放電容量を達成し、改良以前の放電容量1155.8mAhを大幅に上回った。さらに、エネルギー効率は約83%を維持し、電解液利用率も62%と従来の電極の36%に対して大幅に向上した。

放電容量とエネルギー効率の向上は、ホウ素/窒素ドープによる、電極表面積の増加と電気化学活性の増大に起因するという。ドープされた電極は、エネルギー貯蔵過程にとって重要な酸化還元反応の活性サイトをより多く提供できる。さらに、チタン触媒の導入は反応速度を向上し、より効率的なエネルギー移動を可能にした。

同技術は、レドックスフロー電池の普及につながり、再生可能エネルギー分野の進展に貢献すると期待される。

研究成果は2024年1月12日、「Green Energy and Intelligent Transportation」誌に掲載された。

関連情報

Breakthrough in battery technology: iron-chromium redox flow batteries enhanced with N-B doped electrodes | EurekAlert!

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