高速ワイヤレス通信を可能にするGaN系高電子移動度トランジスタを開発

デラウェア大学の電気およびコンピューター工学科のYuping Zeng助教授らにより、高速無線通信を可能にするトランジスタが開発された。化合物半導体で作製される高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)の一種であり、ベース基板上にInAlN(窒化インジウムアルミニウム)とGaN(窒化ガリウム)を積層した電界効果型トランジスタで、研究成果は、2019年9月4日に『Applied Physics Express』誌に掲載されている。

研究チームによると、今回開発されたGaN HEMTは、ゲートリーク電流が低く、高いオン/オフ電流比を示し、さらに200GHzという高い電流利得遮断周波数をもつという。この高帯域幅特性を生かすことで、単位時間あたりより多くの情報処理が可能で、かつ低電力なアプリケーションが実現できる可能性がある。また、GaNトランジスタは放射線への耐性が高く、宇宙航空用途にも向いており、広いバンドギャップにより、大電力用途にも利用可能だ。

また、このGaN HEMTは、材料設計とデバイスアプリケーション設計の両方における革新をもたらすだけでなく、低コストのシリコン基板上に生成でき、従来のシリコン相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術とも互換性があるという。

研究チームはこのGaN HEMTを使って、低電力アプリケーションと高速アプリケーションの両方について、無線通信やIoT向けの電力増幅器を作成する予定だ。

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