MEMS技術を用いた薄型かつ小型の電子部品を開発──旭電化研究所、アルファー精工、シナプス

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2022年2月1日、旭電化研究所、アルファー精工およびシナプスが、MEMS技術を用いた薄型かつ小型の電子部品を開発したと発表した。従来のMEMS技術はシリコンのみで利用可能となっていたが、今回は金属と樹脂を用いた手法を採用しているため、コネクタやソケット、スイッチ、インダクターといった電子部品に応用できる。

ポスト5Gや6Gに向けた通信技術の開発にあたっては、コネクタや半導体ソケットに従来以上の小型化や薄型化、高周波伝送特性が求められる。一方で、従来のインサート成型では反りが生じてしまうため、厚さ0.8mm程度以下の成形が難しかった。また、接続長が長くなるため、伝送特性の要件を満たすことも困難だった。

3社が今回開発したのは、幅1.2mmかつ厚さ0.25mmのコネクタだ。母材の銅張フィルムの上に、MEMS技術により凹凸端子を加えて成形する手法を採用した。幅2.0mmかつ厚さ1.0mmだった従来のコネクタ(NEDOの発表による)と比較して、大幅な薄型化および小型化を実現している(冒頭の画像)。

また、薄型化および小型化に伴い、端子接続部の接続長も短くなった。これによって電気インダクタンスが小さくなり、損失が従来比で4分の1程度に低減、伝送特性が向上している。開発中の6G世代で用いられる1GHz~30GHzの高周波伝送帯域において、挿入損失が約−3dB、特性インピーダンスのミスマッチが5Ω以下となっており、伝送特性の要件を満たす。

その他、重量が従来品比で6分の1以下、接触抵抗は4分の1以下となった。消費電力は55%削減している。

さらに3社は、BGAパッケージの試験および実装に向けた半導体ソケットも開発した。1500~2500ピン、ピンピッチ0.3~0.5mmを対象に想定しており、ボールピッチ0.3mmまでの対応を確認している。

MEMS技術により高周波に対応したコンタクトデバイスを一括で作製できるため、低コスト化や低消費電力化に寄与する。従来は、コイルバネを備えた接続長の長いプローブピンを格子状に配列したソケットでしか試験できず、高価である点がネックとなっていた。

今回の開発は、NEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」の一環として進められた。3社は同プログラム終了後も、量産技術や低コストの加工技術、歩留り改善、さらに高精度な加工技術の開発などに取り組むとしている。

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