最新のECU事情――自動車がネットワークに繋がるコネクティッドの時代、課題はセキュリティの確保

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AZAPA エンジニアリング株式会社 代表取締役社長 井村佳人氏


この連載では、自動車に搭載され、様々な機能を制御している電子制御ユニット(ECU:Electrical Control Unit)、その最新トレンドを紹介しています。

第1回目は「自動車の様々なシステムを制御するECUとは」、第2回目は「ECUの変遷」についてお話いただきました。

第3回目の今回は「最新のECU事情」と題し、AZAPA エンジニアリング株式会社 代表取締役社長 井村佳人氏にお話を伺います。(執筆:後藤銀河)


――ECUの搭載数は統合ECUの登場によって当面は少なくなると伺いました。その他に、今注目すべきECUには何がありますか?

[井村氏]各社が注力しているのはコネクティッド機能ですね。自動車を外部のネットワークと接続するためのテレマティクス機能を備えたECUです。これまで第2世代といわれるコネクティッドシステムでは、ナビゲーションユニットやDCM(Data Communication Module)と呼ばれる通信ユニットを使っていました。緊急コールボタンを押すとコールセンターに接続して通話ができたり、車両の情報をリモートで送信したりするサービスが提供されています。

今後、第3世代のコネクティッドECUが登場すると、自車の走行状態や今走行している路面の状態を、他の自動車と共有することができるようになるでしょう。数年後にはカーシェアリングも今より普及すると思いますが、シェアリングする車に乗る前に、自分のスマートフォンでガソリンやバッテリーの状態をチェックすることができるようになるでしょう。

また、コネクティッド機能を使って、ECUやナビゲーションのソフトウェアを最新版に更新できるようになるでしょう。現状ではディーラーに車両を持ち込んで有線で書き換えていますが、今後5~10年のうちに無線で書き換え可能になるOTA(Over The Air)機能が実用化されるとみています。5Gサービスが始まって、多量のデータが高速で送信できるようになれば、運用をどうするかという課題はありますが、技術的には問題なく対応できる機能です。

車載電子システムをハッキングから守るCANゲートウェイECU

――コネクティッドによって、自動車もPCやスマートフォンのようにコントロールしたりアップデートしたりできるようになるんですね。そうなるとセキュリティは大丈夫なのかとも思いますが、いかがでしょうか。

[井村氏]はい、ネットワークを通して外部と接続できるようになることで、逆に外部から侵入される不正アクセスの恐れが高まります。このためPCのソフトウェア同様、ウイルスやハッカーからの攻撃から守るための機能が必要になってきます。これを担うのが、ゲートウェイECUで、車載ネットワークであるCAN(Controller Area Network)通信が外部から不正にアクセスされないように担保しています。

また、コネクティッド機能の開発には、これまでの車載電子システム開発とは全く異なるスキルが必要になります。そのため、必要となる人材も従来のECU開発に必要な組み込み系のスキルを持ったエンジニアから、通信やIT系の知識、経験を備えた人材へとシフトしてきています。自動車業界での開発経験がまったくないエンジニアも多く必要になってきます。

次回は、「ECUを取り巻く環境」と題してお話を伺います。


井村佳人(AZAPA エンジニアリング株式会社 代表取締役社長)
自動車のエンジンECU設計に深く携わり、エンジニアリング会社社長、SIerの経営を経て、2017年11月に同社に参画し、現職。OEMメーカーと共同で新規事業、研究開発などを手掛けている。

取材協力先

AZAPA エンジニアリング株式会社


ライタープロフィール

後藤 銀河
アメショーの銀河(♂)をこよなく愛すライター兼編集者。エンジニアのバックグラウンドを生かし、国内外のニュース記事を中心に誰が読んでもわかりやすい文章を書けるよう、日々奮闘中。


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