硫化物系固体電解質を用いたコイン形全固体電池のサンプル出荷を開始――10年以上の長寿命特性と100℃以上の高温耐性を両立 マクセル

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コイン形全固体電池(サンプル)

マクセルは2019年9月20日、硫化物系固体電解質を使用したコイン形全固体電池を開発し、9月上旬からサンプル出荷を開始したと発表した。

電池の性能を決める主な特性にはトレードオフの関係にあるものが多いため、従来の材料系を用いながら複数の電池特性を同時に向上させるのは難しい。高入出力、長寿命および耐熱性を同時に高めるには、従来の材料系から進化した材料、とりわけ電解質を根本から見直す必要があった。

今回開発した電池は、小型電池向けに三井金属と共同で改良した硫化物系固体電解質と、その固体電解質向けに組成や粉体特性を制御した独自の電極材料を採用している。その結果、充放電に伴う抵抗上昇を抑制し、電解液を使用した従来の電池に比べ高負荷時での放電容量が約30%向上した。

開発したコイン形全固体電池の放電特性(9mmΦ)

さらに、独自のプロセス技術を適用することで、電池内部のリチウムイオン伝導度を高めることにも成功し、-50℃以下の極低温から100℃の幅広い温度領域で動作可能となった。

開発したコイン形全固体電池の100℃サイクル特性

また、従来の電解液系電池で課題だった電解液起因の劣化が発生せず、さらに200℃付近まで安定を維持するため、10年以上の長期間電池性能の低下を抑えられる。

開発したコイン形全固体電池の貯蔵後放電容量(10年貯蔵相当の加速評価)

今後マクセルは、国内にあるマイクロ電池の設備、製造技術およびノウハウを活用し、大幅な設備投資を伴わずに短期間で量産に移行する計画だという。

コイン形全固体電池は、国内ウエアラブル機器メーカーとの共同開発により製品化および量産出荷し、以降は他のウエアラブル機器やIoT機器向けにも展開する予定だ。また、車載機器やIoT機器など、従来のリチウムイオン電池では対応できなかった高い耐熱性や長寿命特性が求められる市場にも展開を予定しているという。

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