ウェアラブルを革新する、洗濯可能な高導電性繊維を開発

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

高導電性繊維を用い、エネルギー貯蔵や環境発電、センサなどの多様な機能をウェアラブルやアパレルに作り込むことができる。

ドレクセル大学の研究チームが、「MXene」と呼ばれる2次元高導電性材料を繊維に被覆することで、高機能なウェアラブルデバイスを作成する手法を考案した。一般的な染色工程と同じ浸漬被覆法を活用し、産業用織機でも製造できるほど充分に強くて柔軟な、また何回洗濯しても性能劣化しないほど耐久性が高いという。研究成果は、2019年9月5日の『Advanced Functional Materials』誌に公開されている。

今のウェアラブルデバイスには、着心地のよくないバッテリーや、硬質の金属繊維を用いるなど、デザイン上の制約があるものが多い。また、導電性繊維としてグラフェンやカーボン系材料、銀のナノワイヤ等が検討されているが、環境面の懸念や性能面の課題が解決できていない。加えて導電性材料を繊維に被覆する手法では、繊維を脆くし、摩耗や破断に対する耐久性を喪失する傾向がある。

研究チームは、2011年にドレクセル大学で開発されたTi3C2系2次元高導電性MXeneナノシートの研究に関わり、高導電性や電極活性等の画期的な特性、および淡水化技術や触媒等に期待される応用の研究を実施、添加剤や界面活性剤なしに水と混合して、インクやスプレーコーティングに合成する技術を開発してきた。数原子厚さの薄片から構成されるTi3C2系MXeneは、サイズが調整でき、大きな表面積を持つ薄片は高い導電性を有する。研究チームは、まず個々の繊維に小さな薄片を浸透させた後、大きな薄片で繊維全体を被覆することで、繊維の導電性や耐久性を向上できることを見出した。

研究チームは、綿、竹、リンネルの3種類のセルロース系繊維に対して、標準的な染色工程である浸漬被覆法を適用して、高導電性繊維を作成。産業用織機を使って、摩耗や破断を生じることなく、織物製品とすることに成功した。この分野においては、GoogleとLevi’s、Yves Saint Laurentが、スマホをジャケットの上からスワイプ操作できるアパレルを共同開発しているが、ドレクセル大学の研究はアパレル分野に革新をもたらす可能性を秘めている。

加えて研究チームは、実際的な応用に向けて、タッチセンサーを織り込んだウェアラブルデバイスを試作した。このデバイスに対して、引張や捩じり、曲げ、そして数十回の洗濯サイクルを加えたが、タッチセンサー機能は劣化しなかった。

研究チームは、開発技術の応用展開として、センサ、ウェアラブル内蔵バッテリー、エネルギー貯蔵デバイス、無線用アンテナ、電波障害シールドにも活用できると提言する。既に、研究チームは、自動車シートと内装の主要材料メーカーとの共同研究にも着手している。

関連リンク

That New Yarn?! — Wearable, Washable Textile Devices Are Possible With MXene-Coated Yarns

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る