- 2020-7-9
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- ACS Energy Letters, カソード, コバルト, ナトリウムイオン電池, パシフィックノースウェスト国立研究所, リチウム, リチウムイオン電池, ワシントン州立大学, 電解質
ワシントン州立大学、パシフィックノースウェスト国立研究所などの研究チームは、豊富で安価な材料から、リチウムイオン電池と同程度のエネルギーを保持して動作するナトリウムイオン電池を開発した。研究成果が2020年4月28日、『ACS Energy Letters』に掲載された。
コバルトやリチウムなど希少で高価な材料から作られるリチウムイオン電池に対し、ナトリウムイオン電池は、豊富で安価な材料であるナトリウムから作られる。そのため大規模エネルギー貯蔵の候補となるが、リチウム電池ほど多くのエネルギーを保持できず、再充電にも問題がある。不活性なナトリウム結晶の層がカソード表面に蓄積すると、ナトリウムイオンの流れが阻害され、その結果、電池として機能しなくなるためだ。
この問題を解決するため、研究チームは層状の金属酸化物のカソードと、ナトリウムイオンを余剰に含む液体電解質を作製した。このカソード設計と電解質システムによって不活性な表面結晶の蓄積を防ぎ、ナトリウムイオンの継続的な移動を可能とした。
この結果、ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池同様の容量を示し、さらに1000サイクルの充放電後でも80%以上の充電容量を維持していた。層状カソードを備えたナトリウムイオン電池が、リチウムイオン電池に匹敵するものになる可能性を示す、優れた結果が得られたとしている。
この研究は、カソードと電解質との相互作用について根本的な知見を明らかにしたもので、実用的なナトリウムイオン電池への道を開くものだ。研究チームは、さまざまな材料を使用した電池設計の改善や、コバルトを使用しない電池の設計などに取り組んでいる。