有機物と無機物は何が違う?それぞれの物質例や特徴、見分け方を簡単に解説

世の中にはさまざまな物質が存在しています。しかし、大きく分けると有機物と無機物の2種類しかありません。有機物と無機物の違いはなんとなく分かるものの、「厳密にどう違うのか?」と質問されたら、説明に困ってしまう人も多いのではないでしょうか。

この記事では、有機物と無機物の違いについて、それぞれの物質例や特徴、見分け方を簡単に解説します。ぜひご覧ください。

有機物と無機物の違いとは?

有機物と無機物の違いについて、以下の2点に分けて解説します。

・有機物と無機物の違いの基本は炭素を含むかどうか
・代表的な有機物と無機物

それぞれ見ていきましょう。

有機物と無機物の違いの基本は炭素を含むかどうか

一般的に、有機物と無機物の違いは「炭素(C)」を含んでいるかどうかで決まります。Cが含まれている化合物を有機物と呼び、有機物以外の物質は全て無機物です。ただし、この基準は絶対ではありません。例えば、一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)などは無機物として取り扱います。

今では有機物を人工的につくり出せるため、Cを判断基準にしていますが、元々は「生物がつくり出す物質」を有機物としていたのです。このことから、タンパク質や糖質、脂質など、生物の体内でつくり出される物質を有機物、と考えると整理しやすいでしょう。

有機物の例外

炭素を含む化合物でも、一酸化炭素や二酸化炭素、炭酸カルシウムなどのほか、炭素自体やダイヤモンド(C)も有機物には分類されず、無機物として取り扱います。

このような例外を判断する基準としては、「生物に由来しない物質は無機物」という考え方が1つ。さらにもう1つ、「燃やしても炭にならず、二酸化炭素も発生しない物質は無機物」という判断基準もあります。

代表的な有機物と無機物

代表的な有機物には、砂糖、小麦粉、片栗粉、木、紙、布、ロウ、ふん、死骸などがあります。他にもアルコール(メタノールやエタノールなど)、天然ガス(メタン、エタン、プロパンなど)、プラスチック(ポリエチレンやポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレンなど)なども有機物です。

一方、代表的な無機物としては、例外(炭素Cを含むが有機物ではない)である一酸化炭素や二酸化炭素、炭酸カルシウムなどのほか、炭素を含まない水(H2O)や塩化ナトリウム(NaCl)、鉄(Fe)などが挙げられます。

有機物の特徴

有機物の特徴について、以下の2点に分けて解説します。

・熱すると二酸化炭素と水ができる
・生物の体内で生成される

それぞれ見ていきましょう。

熱すると二酸化炭素と水ができる

有機物は、熱すると二酸化炭素と水ができるのが特徴です。

炭素を含む有機物を燃焼させると、空気中の酸素(O)と化合するため、二酸化炭素が発生します。また、有機物は大抵、水素(H)も含むため、同じく空気中の酸素と化合して水もできます。

例えば、エタノール(C2H5OH)を燃焼させたときの化学反応式は「C2H5OH+3O2→2CO2+3H2O」です。このように、有機物を熱したら水と二酸化炭素になることが分かります。

生物の体内で生成される

有機物は、生物(動植物)の体内で生成されるという特徴もあります。体内で生成されるタンパク質(アミノ酸)や炭水化物(糖質)、脂質(脂肪酸)などは、炭素を含んでいます。

なぜ炭素が含まれるのかというと、植物は空気中の二酸化炭素と土壌の水を使って光合成し、デンプンのもとになるグルコース(C6H12O6)と酸素を生み出します。化学反応式は「6CO2+12H2O→C6H12O6+6O2+6H2O」です。

このデンプンに含まれる炭素を蓄積した植物を摂取することで、動物は体内で有機物を生成します。肉食動物であっても、草食動物を摂取することで間接的に植物の炭素を取り入れています。

ただし、現代では人工的に合成された有機化合物も無数にあります。有機物が全て生物の体内で生成されるわけではないということに注意が必要です。

無機物の特徴

無機物の特徴を解説します。有機物以外は全て無機物に分類されます。そのため、基本的に炭素が含まれていないということが挙げられます。また、炭素が含まれていても、熱したときに二酸化炭素と水が発生しなければ無機物です。

有機物と無機物を見分ける方法

有機物と無機物を見分ける方法として、燃焼実験があります。対象物質を燃焼させ、石灰水を入れた集気瓶の中に入れると、有機物か無機物かは一目瞭然です。

例えば、見た目がほとんど同じに見える「砂糖」と「塩」で実験してみると、どうなるでしょうか。砂糖を燃焼させて集気瓶の中に入れると、集気瓶の内側が曇って石灰水は白く濁ります。これは水と二酸化炭素が発生したことを意味し、砂糖が有機物だと分かります。

それに対して、加熱した塩を集気瓶の中に入れても変化はなく、水と二酸化炭素は発生していないことが分かります。つまり、塩は無機物となります。

まとめ

有機物と無機物の違いについて、それぞれの物質例や特徴、見分け方を簡単に解説しました。

有機物と無機物は「炭素C」が含まれているかどうかで決まります。ただし、炭素Cが含まれていても、熱して「水」と「二酸化炭素」にならないなら無機物として取り扱います。

また、有機物は生物に由来すると考えられているのが特徴です。炭素Cが蓄積された植物を直接または間接的に摂取するため、動物は体内で有機物を生成します。

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