機械系エンジニアの仕事。向いている人とは?必要なスキルや、気になる環境事情をご紹介

18世紀後半に英国で起きた産業革命以来、技術革新による機械化が進み、生産性は飛躍的に向上してきました。19世紀後半になると機械化の流れは家庭向け製品にも波及するようになり、電話機を皮切りに様々な機器の開発が加速します。現代社会においては、機械の存在なしでは企業活動や生活が成り立たないほど重要性は高まっています。

そのため、安定した職業として機械系エンジニアを目指す人や、社会をより良くするという志から、革新的な機械を開発したいと考える人もいるはずです。機械に関わる仕事に少しでも興味がある人は、機械系エンジニアも選択肢の一つとして検討してみてください。

機械系(メカニカル)エンジニアとは?

機械系エンジニアとは、主に製造業における機械分野の製品開発に携わるエンジニアのことです。機械分野の裾野は広く、ものを生産するための産業機械や工作機械から、消費者が趣味や生活、仕事のために使う家電製品や自動車、電子機器、医療機器まで多岐にわたります。近年では人手不足に対応するため、生産ラインの自動化が急務となっており、産業用ロボットをはじめとした最先端のテクノロジーに詳しいエンジニアの需要が高まっています。

仕事内容は開発と設計、製造プロセスなどに広く関わり、企画立案や部品の調達、管理といった業務も含まれます。高度な専門知識に加え、経験や知見、スキルが求められる職種であるため、機械工学の修学者や熟練エンジニアは就職や転職が有利になります。日本の製造業はGDPの2割程度を占める基幹産業であり、自動車や電子部品、工作機械など世界をリードする分野もあることから、今後の成長が期待できる高い将来性も魅力です。

機械系エンジニアの仕事内容

CAD(Computer Aided Design)やCAE(Computer Aided Engineering)の普及により、機械の開発/設計業務の効率化は進んでいますが、膨大な作業量をこなす必要があり、複数のエンジニアが協力して以下の仕事に取り組みます。

企画立案

顧客が現状の機械にどのような不満を持ち、その不満を解消するための課題や問題が何かを探り、解決のプロセスを描くのが企画立案の仕事です。実際に市場のニーズなどの調査は営業やマーケティング部門が担当しますが、機能や性能の仕様決定や構想設計に、エンジニアの知識や経験が必要になります。

基本設計・レビュー

構想設計を基にCADで図面を描き、部品の寸法や組み付け方法、接合部の強度などの細部を決定していくのが基本設計です。さらに基本設計をレビューすることで、機能性や安全性などの要件を満たしているかを評価します。

詳細設計・試作品の製作

詳細設計では、生産の安定性を担保するために、詳細な構造、各部品の寸法公差や幾何公差などを決定します。シミュレーションの結果に問題がなければ試作品を製作し、性能評価試験に通れば生産プロセスに移ります。

また、機械系エンジニアは設計、開発だけではなく、完成した製品や生産設備の保守、メンテナンスにも対応することがあります。

機械系エンジニアの将来性

機械系エンジニアの需要は、慢性的な人手不足に加え、円安や景気の回復などの要因により今後も伸びることが予測されます。近年では海外向けの製品を現地で生産する企業が増えていることも、国内の機械系エンジニア不足に拍車をかけています。

さらに、欧米の外資系だけでなく、資金力のある台湾、中国、韓国などの機械メーカーも存在感を高めており、優秀な機械系エンジニアの獲得競争は今後も続くことが見込まれます。日本の機械メーカーにとっては厳しい時代になりますが、機械系エンジニアにとっては待遇の改善や、活躍の場が広がるチャンスとなります。

国内では特に、少子高齢化や健康志向などの高まりにより、医療機器市場の成長が続いています。日本製の機械は性能と耐久性、安全性の高さに定評があるため、海外における医療機器への需要増加が期待されます。また、世界的にAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ロボットといった先端技術の活用により、生産工程を自動化する傾向が強まっています。そのため、機械分野だけでなく、ICT(情報通信技術)やデジタル技術に精通した機械系エンジニアの需要が特に高まっています。

機械系エンジニアの給与事情など、待遇事情

機械系エンジニアは、どの程度の年収が期待できるのでしょう。各年代別の平均年収と、実際の求人の事例を紹介します。

平均給与と良くある待遇

dodaによると、機械系エンジニアの平均年収は455万円で、他の業種より高い傾向にあります。年代別で見ると20代が380万円、30代が480万円、40代が553万円、50代〜が658万円となっています。働く会社や仕事内容、勤務地、勤続年数、役職などで差があり、国内企業より外資系が、職種ではプロジェクトマネージャーの年収が高く、海外を含む転勤や出張が多い場合も好待遇になる傾向があります。

機械系エンジニアで働くうえで必要なスキル・資格

機械関連の知識やスキルの習得に加え、プラスαの知識や、技能を証明する資格があれば、就職や転職において大きなアピールポイントになります。

機械工学と幅広い知識

熱力学、機械力学、流体力学、材料力学の4力学を基礎とした機械工学の知識は当然として、他にも幅広い知識やスキルが必要になります。どの分野に属するかにより、電子回路やソフトウェア、制御システム、通信、情報など、求められる知識やスキルが変わってきます。

機械設計技術者試験

機械設計技術者試験は、日本機械設計工業会が実施、認定する技術力認定試験で、学生や新人エンジニアでも3級の受験が可能です。3級を足掛かりに実務経験を積み、2級、1級を目指すことで効率的、かつモチベーションを保ちながらエンジニアとして成長できます。

CADや英語の資格

機械系エンジニアにとって、CADの操作に加え、基本的な英語の読解やコミュニケーションスキルは必須です。そのため、CADの知識とスキルを証明するCAD利用技術者試験(主催:コンピュータ教育振興協会)や、英語関連の資格は就職や転職、スキルアップ、昇進の可能性を高めてくれるでしょう。

機械系エンジニアで働くことが向いている人

機械系エンジニアは、PCや機械に向かって黙々と仕事をするイメージがあるかもしれませんが、意外と人と接する機会の多い職種です。どのような人が向いているのか見ていきましょう。

とにかく機械が好き

機械の設計とレビュー、試作品の製作を幾度となく繰り返し、徹底的に問題点のあぶり出しと改良をしていく仕事です。また、現場での生産設備立ち上げや装置メンテナンスにも立ち会う機会があるため、機械への愛着がないと長続きしない恐れがあります。

最新技術の習得にどん欲

機械技術以外にも、AIやIoT、クラウド、ロボットなどの最新技術は目覚ましく進歩しています。これまでやってきた仕事内容が時代遅れになる可能性があるため、常に最新技術の情報にアンテナを張り、必要であれば習得の努力ができる人に向いています。

コミュニケーションをとることに抵抗がない

機械の開発や設計の仕事は好きでも、コミュニケーションをとることが苦手な人には、苦痛に感じる場面が多くあるかもしれません。なぜなら、仕事はチームで協力しながら取り組み、他部署の担当者とのスケジュール調整も仕事に含まれるためです。より良い製品を作るため、良好なコミュニケーションも仕事と割り切ることが大切です。

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機械系エンジニアとして働く先輩の声

メイテックフィルダーズの西島 大貴さんは、大学で機械工学を学び、卒業後は約9年にわたり、派遣という働き方で機械系エンジニアを続けています。派遣エンジニアを選択したのは、当時はやりたいことが明確に決まっていなかったことが理由で、派遣であれば1社に縛られず、複数の企業で様々な製品、業務を経験できることから、将来の目標を見つけやすいだろうと考えたそうです。

西島さんは、これまで監視装置や複合機、自動車部品の開発に携わり、製品と業務の幅を広げてきました。エンジニアとして成長するためには、知識やスキルだけでなく、「周囲とコミュニケーション取ること」と「考え続けること」が大切だと語ります。

関連リンク

やりたい仕事・製品が決まっていないからこそ、派遣エンジニアの道を選択。監視装置、複合機、自動車部品と、製品、業務の幅を広げたエンジニアキャリア──メイテックフィルダーズ 西島 大貴氏

まとめ

機械系エンジニアは、アイデアから製品を生み出すプロセスに関われる、とても魅力的な仕事です。技術の発展により、世の中の課題を解決する機械の実現性とニーズは高まっています。製品によっては今後の成長が見込めないものもあり、これまでの仕事や環境に満足しているエンジニアにとっては厳しい時代になるかもしれません。

一方で、先端技術を学ぶ意欲のあるエンジニアにとっては、新たな分野へチャレンジしやすく、これまで以上のキャリアと待遇を得るチャンスが増えることが期待できます。これまでの価値観に縛られず、これからはどのような機械が必要とされ、製品化するためにはどのような技術が必要なのかを考え続けられる、そんなエンジニアが求められています。

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