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住友電気工業は2025年2月18日、モーター用圧粉磁心の材料ラインアップを拡充したと発表した。また、JSOLが開発した電磁界解析ソフトウェア「JMAG」に新たな材料データを追加で登録した。
同社は以前より、モーター用圧粉磁心材料「FMCM-HB」シリーズとして「HB1(標準グレード)」「HB2(低損失グレード)」「HB3(高透磁率グレード)」を提供している。今回、新たに「HB4(低損失グレード)」「HB5(コストパフォーマンス重視グレード)」「HB6(極低損失グレード)」の3種を追加した。
HB4は、HB2の切削加工性を向上させたものだ。削り試作品を使用して圧粉磁心を検討するためのエントリーモデルに位置づけている。HB5は必要なレベルまで磁気特性を下げており、低コストを特長としている。HB6は最高グレード品となっており、圧粉磁心の直流磁化特性と鉄損特性が両立した。HB2と比較して、磁束密度を損なわずに透磁率が向上した。また、鉄損が約15~20%低減した。
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モータ用圧粉磁心の磁気特性比較
2025年1月にリリースされたJMAGの新バージョン(Ver.24.0)には、これら3種に加えてソレノイドなどの中周波用材料(周波数2~10kHz)「NM2」を新たに追加している。
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電磁界解析ソフトウェア「JMAG」の解析画面
圧粉磁心は、絶縁皮膜で覆った鉄粉を成形、加熱処理した材料だ。三次元形状自由度の高さや軟磁気特性を特長としており、近年はモーターや昇圧コンバーター用リアクトルへの採用が増加している。