MIT、労働者が予想する賃金と実際の賃金のギャップを調査――他社の給与水準を過小評価していることが明らかに

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マサチューセッツ工科大学(MIT)は2024年3月14日、労働者が他社の給与水準を過小評価し、雇用市場での判断を誤っているとする研究をニュースレターで紹介した。

研究ではドイツの労働者558人を対象に外部雇用機会に関する質問への回答結果と、ドイツ政府の雇用研究所(IAB)から収集した実際の雇用・給与データを結びつけることで、労働者が考える業界全体の給与水準と実際の賃金との間の不一致を定量化した。例えば、同じ業界の企業に転職することで10%の賃金上昇が見込める労働者の場合でも、労働者が予想する賃金上昇はわずか1%だったという。これは、多くの労働者が就労している企業以外での給与水準を見誤っており、転職の選択肢を適切に検討できていないことを示している。

加えて研究者らは2448人の参加者を対象にオンライン実験を実施。他社の給与水準に関する正しい情報を与えた上で、転職の意向などを調査した。この結果、労働者が認識する他社の給与水準が10%増加すると、現職から離れる意向を示す割合が2.6ポイント増加した。

特に低賃金の企業で働く労働者は他企業の給与水準を過小評価する傾向にあり、研究の共著者であるNina Roussille氏は「低賃金の労働者が他でもっと稼げることを知らなければ、彼らは同じ企業に留まり続ける。この結果、低賃金の企業は外部の労働市場からの競争圧力を感じていないのだ」と指摘する。

今回の調査はドイツで行われたが、研究者らはこの結果は他の国でも応用が可能だとしている。研究の共著者であるSimon Jäger氏は、ヨーロッパよりも賃金格差が激しいアメリカでは給与水準の誤った認識がより重大な結果をもたらすだろうと予測する。

また、一般的に労働者が自分の業界に関する正確な給与情報を持っていることを前提としている経済学においても、本研究の結果が与える影響は大きいが、研究上の求職モデルをより現実に近い形に調整できるため、経済学者からはおおむね好意的なフィードバックを受け取っているという。今後、研究者らはこうした給与水準の誤解について企業側の理解を深めるため、管理職への調査を実施していくとしている。

関連情報

Study finds workers misjudge wage markets | MIT News | Massachusetts Institute of Technology

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