- 2025-1-14
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企業の品質に対する責任の重要性は認識されながらも、近年、品質問題が相次いで発覚し、社会問題化しています。品質問題は消費者への裏切りと捉えられ、企業イメージの低下や売り上げの減少、最悪の場合、倒産にもつながる大きな問題です。そのため、品質問題の発生防止に努める企業が増え、品質管理・品質保証への注目が高まっています。
この記事では、品質管理・品質保証の仕事に興味のある方を対象に、必要なスキルや求められる人物像、求人トレンド、転職を成功させるポイントなどを解説します。
品質管理・品質保証の求人トレンド
品質保証とは、製品の品質を一定に保つために、原材料調達から製造、出荷、販売時まで、工程全体を管理、改善する仕事です。品質管理はその一部で、製造工程で不良品の発生を防ぐ役割を担います。
2016年ごろから、大手企業による検査データの改ざんや不適合品の出荷などの品質問題が報道などで大きく取り上げられるようになり、品質管理・品質保証の重要性が認識され始めました。品質問題の発覚がピークを迎えた2018年には、製造業の多くの企業が品質管理体制の強化を図るため、特に海外の生産拠点での品質関連の求人が急増しました。
2019年以降は、品質管理体制の整備が急速に進むとともに、コロナ禍により生産活動が抑制されたことから求人は減少していましたが、生産活動が再開されると増加に転じました。一旦収まっていた品質問題も、自動車や食品、素材、機械など製造業全般で再び増加傾向にあることから、今後も品質管理・品質保証の求人は増加することが見込まれます。
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品質管理・品質保証への転職で求められる人物像とスキル
製品の品質には、原材料調達から出荷までのあらゆる要素が影響するため、問題が起きれば原因を徹底して調査する根気強さが求められます。他にも、必要となる人物像とスキルを4つを紹介します。
1. 部門間の折衝をする能力
製造工程の管理を担う品質管理に対し、品質保証は製品の企画段階から原材料調達、製造、出荷、販売までの全工程にわたって管理するため、部門間のやり取りをスムーズにする折衝能力が求められます。
例えば、製品不良が見つかった場合、納期に影響が出ることがあります。その際に、設備を止めて調査と改善を進めながら、出荷部門と販売部門とスケジュール変更の調整をするなど、部門を横断した立ち回りが必要になります。業務の異なる人たちの連携を促すことで、それぞれの不満がぶつけられることもありますが、そんな中でも品質維持を最優先に、適切な判断をする冷静さが求められます。
2. 顧客とのコミュニケーション能力
品質保証の業務には販売後のアフターフォローも含まれており、品質に対する顧客からのクレームに対応します。品質に不満を持つ顧客を相手にするため、顧客満足度の低下を招かない高度なコミュニケーションが求められます。顧客の言い分を聞きながら情報を引き出し、品質の問題の原因が企業側にあるのか、もしくは顧客側にあるのかを判断します。顧客側にある場合はその可能性を伝え、理解してもらう説明能力も必要になります。
クレーム対応も企業側が提供する品質の一部と捉えられ、企業に責任がない場合でも顧客が不満に感じれば企業に対する信頼性が損なわれます。逆に製品に不具合があった場合でも、丁寧な対応をすることで企業と品質への信頼性を高めることもできるため、顧客とのコミュニケーション能力はとても重要です。
3. 実践的な英語力
大手企業の多くが生産拠点を海外に展開し、品質の現地化が進められている背景から、英語力のある品質管理・品質保証のエンジニアが必要とされています。TOEICのスコアでは600~800点が1つの目安となりますが、現場で通用する実践的な英会話能力を重視する企業が増えています。
また、近年の日本では海外出身のエンジニアの活躍の場が増えているため、国内の生産拠点でも英語力があれば円滑なコミュニケーションに役立ちます。さらに、英語で発信される最先端の技術情報を理解でき、海外への出張や赴任経験を得ることで管理職へのキャリアアップの可能性を高められるなど、実践的な英語力はこれからの時代には必須となるでしょう。
4. 製造技術に関する知見
品質管理・品質保証、そして製造技術は、顧客により良い製品を届けることを共通の目標とする職種です。最終的な製品品質の責任を担う品質保証に対し、製造技術と品質管理は製造工程での大きな役割を担う特徴があります。
品質管理は、製造工程の調整や改善をすることで、不良品の発生をできる限り抑えるのが主な仕事です。製品検査をして不良品があった場合には、各現場で情報を共有して問題解決に取り組みます。製造工程の調整や改善を実行するためには、製造ラインの構築から管理まで担う製造技術の知見が必要になります。
品質管理・品質保証職のまま異業種へ転職する事例
品質管理・品質保証のエンジニアが異業種へ転職する場合、求められる知識や技術を習得していない限り厳しいのが現状です。また、企業により品質保証体制が異なるため、どこでも通用する品質管理・品質保証のスキルを身に付けることが大切です。
例えば、人の命を預かる自動車業界のエンジニアは、シビアなクレーム対応の経験が異業種でも評価され、採用されるケースがあります。家電製品やIT関連などの業界に転職する際に強みになる可能性があるでしょう。他にも、法規や外部要求事項、統計学的な数学の知識があると、業種が違っても活躍できる幅が広がります。
設計開発など異職種から品質管理・品質保証へ転職する事例
設計や開発、生産技術、生産管理職の経験は、品質管理・品質保証の基礎となるものと言えるため、品質管理・品質保証に必要な知識と技術の習得をしやすくなるというメリットがあります。実際に企業内で、これらの職種から品質管理・品質保証へ異動するケースはよく見られます。転職する場合でもこれらの業務経験は有利に働くでしょう。
仕事の範囲は広く、心身ともにきついと感じることもありますが、品質の優れた製品をつくり、消費者に届けるやりがいのある仕事です。また、今後も製品やサービスの品質に対する要求は厳しくなり、生産技術・管理の経験を持つエンジニアの需要が増えることが予測されており、将来性の高さも魅力の1つです。
エンジニアの転職なら「メイテックネクスト」
品質管理・品質保証への転職を成功させるためには、しっかりとした前準備が重要になります。転職を希望する企業に能力が正確に伝わらないと、実力があっても採用される確率は低くなります。そのため、まずは自身のスキルや経験を精査し、企業にアピールしたいポイントをまとめます。
また、働きたい業界や企業についての徹底的なリサーチも不可欠で、特に異業種からの転職を希望する場合は、これまでの経験に加え、新たな分野への知識も身に付けておくと有利になります。現職に勤めながらの転職活動は時間的に厳しいと感じる方は、転職エージェントに相談することが成功への近道になります。
転職エージェントのメイテックネクストは、エンジニアに特化した無料の転職支援サービスを提供しており、相談者のスキルを客観的に評価し、最も適した仕事が何かを導きます。独占求人を含めた豊富な情報を保有し、エンジニア出身の高い専門性を持つコンサルタントによる、各企業の内情を踏まえたアドバイスが可能です。転職希望者と企業側のミスマッチを埋め、選考の通過から採用まで責任を持ってサポートします。品質管理・品質保証への転職は、ぜひメイテックネクストへ相談ください。
まとめ
品質保証の仕事の範囲は広く、原材料調達、製造、販売など、部門間の折衝をする能力に加え、販売後のアフターフォローをするためのコミュニケーション能力も求められます。品質管理も、製造工程で重要な役割を果たします。どちらも品質にかかわる厳しい仕事ですが、企業のイメージを守る重要なポジションであり、社会への貢献度も高く、やりがいのある仕事です。
インターネットやSNSの普及により消費者の声が瞬時に拡散され、製品やサービスの売れ行きに直結する時代です。これからも規模を問わず、多くの企業が社会的イメージ向上のため、品質管理・品質保証体制の強化を図ることが予測されます。今後も重要性が増すことが見込まれる品質管理・品質保証の仕事に興味のある方は、ぜひチャレンジしてみてください。
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fabcross for エンジニア 編集部
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