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テラヘルツ波パルスを高速、高感度に検出できる高圧電源内蔵のTHz波検出器を量産化 浜松ホトニクス

THz PMTモジュール(左)とTHz I.I.(右)

浜松ホトニクスは2025年3月13日、テラヘルツ(THz)波パルスを室温で高速、高感度に検出できる高圧電源内蔵のTHz波検出器として「THz PMTモジュール」と「THz I.I.」の量産化に成功し、受注を今春より開始すると発表した。THz波検出に電界電子放出技術を応用した世界初となるモジュールで、ほかにはないユニークな特性を有する。価格は、THz PMTモジュールが220万円、THz I.I.が330万円、電源非内蔵型THz PMTが180万円、THz I.I.用電源が22万円(各税込)となっている。

両製品は、メタサーフェスをTHz波-電子変換に活用したTHz波領域に感度を有するTHz波検出モジュールだ。従来のPMTやI.I.に搭載されている光を電子に変換する光電面を、新技術である電界電子放出を原理としたメタサーフェスに置き換えることで、フォトンエネルギーが低く検出が難しいTHz波を検出する。

従来の光電面は、THz波の検出が困難だったため、同社はデンマーク工科大学とともに、THz波に共鳴する微小なアンテナを利用した電界電子放出技術として、メタサーフェスを共同で研究してきた。今回、メタサーフェスの機能層の成膜技術を確立したことで、THz波検出モジュールであるTHz PMTモジュールとTHz I.I.の開発、量産化に成功した。

また、理化学研究所と共同で、開発した検出器の評価のため、波長可変THz波光源(injection-seeded THz-wave parametric generator : is-TPG)の技術を導入し、同検出モジュールの各種特性を正確に評価する技術も確立した。

THz PMTモジュールは、駆動回路や高圧電源を内蔵しているため、パソコンにUSB接続するだけで簡単に使用できる。出力電流信号が入射するTHz波強度に対して非常に大きく変化するため、THz波の微小な変化を高感度に検出できる。

THz I.I.は、THz波ビームの形状や集光点を手元で簡単に観察できる。筐体がコンパクトなため、狭い光学系の間にも直接挿入できる。さらに、従来の熱型のTHz波カメラでは捉えることが難しい高速現象も、最大で毎秒1000フレームの高速で撮像できる。

両製品の開発、量産化の成功により、創薬や分析、半導体、非破壊検査などへの応用に向けたTHz波の基礎研究や応用研究の加速が期待される。

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高圧電源内蔵のテラヘルツ波検出モジュールの量産化に成功 | 浜松ホトニクス

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