低誘電材料を用いた次世代通信機器筐体を開発 古河電気工業

古河電気工業は2025年2月28日、同社が開発した低誘電材料「Smart Cellular Board(SCB)」を用いた次世代通信機器用筐体(レドーム)を開発したと発表した。設置環境に応じ、強度や防水性、耐候性などさまざまな特徴を持つSCBを組み合わせてカスタマイズもできる。

近年、ITの発展やデジタル化が進む中、通信機器の種類が増えたことから、さまざまな場所に機器が設置されるようになり、使用される周波数帯も多様化している。こうしたことから、本来、通信機器を風雨や太陽光から保護するカバーであるレドームも、機器の設置環境や周波数帯に合った剛性や軽量性、耐熱性、防水性などが求められるようになり、設計の難易度が上がっている。

同社が開発した低誘電材料SCBは、エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックなどの耐熱性に優れた樹脂に気泡を生成した素材で、もともと低誘電な樹脂をさらに低誘電化できる。各素材の比誘電率(Dk)と誘電正接(Df)を低減させ、Dkに基づく反射を抑制することで電波透過率(透過強度)を高めるため、効率的に電波を伝える必要がある通信機器筐体に適している。

同社は、このSCBの特性を生かしたレドームを開発した。従来のABS樹脂を使用したレドームでは、屋外や高周波領域での通信において、赤外線の輻射熱などによる筐体内部の温度上昇が問題となるが、SCBには赤外線領域で高い反射率を発揮する製品もあり、これを筐体の外装に取り付ければ、輻射熱の影響を低減できる。

同社は「SCBシリーズには、さまざまな特徴を持つグレードがあり、それらを複合体とすることで性能を補い合い、単一素材では難しい要求性能も満たせる」としている。

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低誘電材料「Smart Cellular Board®」を用いた次世代通信機器筐体(レドーム)を開発|2025|ニュースリリース|古河電気工業株式会社

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