- 2019-12-6
- 制御・IT系, 技術ニュース, 海外ニュース
- AR, Nature Materials, VR, コレステリック相, スメクチック相, ネマチック相, バイオセンサー, フォトニックバンドギャップ(フォトニック結晶によって遮断される波長領域), ブルー相, ペンシルベニア州立大学, ミラーレスレーザー, 国立中山大学, 次世代ディスプレイ, 空軍研究所
ペンシルベニア州立大学、アメリカの空軍研究所、台湾の国立中山大学の共同研究チームが、次世代ディスプレイに適した応答速度の速い液晶技術を開発した。研究の成果は、科学誌『Nature Materials』に掲載されている。
液晶は分子の配列によって、ネマチック相、スメクチック相、コレステリック相などの種類がある。中でも、ブルー相と呼ばれる液晶は、光学的に等方性で応答速度が速いなどの特徴があり、大きく期待されている。
今回の研究対象となったのは、そのブルー相液晶だ。ブルー相液晶は、3次元フォトニック結晶構造に自己組織化するが、共同研究チームは、他の構造を作り出すことで、現在の形態には現れていない特性が発現すると考えた。
研究チームの実験は約2年に及んだ。実験では、断続的に電界を印加し、系を緩め、蓄積した熱を拡散することで、安定的で電界のない斜方晶系で正方晶系の結晶構造を引き出すことに成功した。
誕生した液晶は、可視スペクトル内のどの領域にも適応できるフォトニックバンドギャップ(フォトニック結晶によって遮断される波長領域)のほか、次世代ディスプレイや先進的アプリケーションに必要な速い応答速度を備える。
研究チームによると、この液晶はVRやARなどの3Dアプリケーションをはじめ、ミラーレスレーザーやバイオセンサーなどに応用できるという。