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早稲田大学と宇都宮大学らは2025年2月10日、EVバスによる地域の余剰太陽光電力利用の実証実験を、宇都宮市内で開始すると発表した。
太陽光発電システムの導入が進むにつれて、家庭などから送電網に流れる逆潮流量が増加している。この影響で電力供給が不安定になる恐れがあることが懸念されている。また、この対策のため、太陽光発電を抑制する出力制御を実施する自治体も存在する。太陽光発電のエネルギーを抑制せず有効利用するためには、地域で発生した太陽光電力を可能な限り同地域内で利用する必要がある。
今回の実証実験は、地域で余剰となった太陽光発電の電力をEVバスに充電して利用するためのものだ。
両大学らによる研究グループはこれまで、バスが将来電動化することを想定して、地域の太陽光発電の余剰電力をEVバスに充電して利用するための「実データを使った地域太陽光発電量の見える化」や「太陽光余剰電力量の予測手法」、「余剰電力を最大活用するEVバスの充電スケジュール最適化手法」を開発してきた。さらに、2023年から活用できるようになった電力メーターのデータによって、宇都宮市全域の電力需要や太陽光などの発電状態を、地域単位で把握/予測する技術を開発した。
さらに、路線バスがEV化された場合の消費電力や充電池残量を推定/予測する「電費予測技術」を開発した。これらの電力と交通の異なるセクターの面的なデータを統合して活用する「セクターカップリング」技術によって、地域での昼間の太陽光余剰電力をパブリックEVの充電に最大限活用する充電スケジュールの策定が可能となった。
今回の実証実験では、宇都宮市の他に関東自動車の協力を得て、実験用EVバスの走行試験および各種センサーによる走行データ取得や、関東自動車の車庫への実験用EV充電器設置とEVバスへの充電実験を行う。また、宇都宮大学キャンパスへの実験用EV充電器設置と、EV公用車およびEVタクシーへの充電実験、さらに、宇都宮市の市民センターへの実験用EV充放電器設置と、EV公用車への充放電実験も実施する。
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研究の全体概要
なお、本実証実験開始に際し、2025年2月18日に「ライトキューブ宇都宮」大ホールにて実証実験用EVバスお披露目式を開催する。