新たな磁性材料を作製――パワーエレクトロニクス回路の小型化、低損失化に寄与 東北大学ら

東北大学は2024年3月26日、同大学電気通信研究所、丸嘉工業および豊田工業大学工学部の研究グループが、新たな磁性材料を作製したと発表した。高周波化が進むパワーエレクトロニクス回路における小型化や低損失化に寄与することが期待される。

鉄に重量比6.5%の珪素を混合した6.5wt%SiFe合金は、磁歪がゼロで結晶磁気異方性も小さいことから透磁率が高い。また、飽和磁束密度も大きく、パワーエレクトロニクス回路に使用する磁気コア用材料として優れていることがこれまでにも知られていた。

一方で、パワーエレクトロニクス回路のMHz以上の動作領域で用いるには、同合金を厚さ数μmの極薄箔に加工することが必要となる。しかし、同合金は硬くて脆いため、磁気コアに加工することは不可能とされていた。

同研究グループは今回、液体急冷法を用いて、溶融金属を冒頭の画像のような直接19μmの厚さのリボンに加工。さらに、このリボンを冷間圧延することで、厚さ2μmにまで薄くできることを発見した。

6.5wt%Si-Fe合金を極薄箔としたことで、MHz以上の周波数で動作するパワーエレクトロニクス回路向けの受動素子、特にインダクタンス素子の磁気コア用材料としての実用化が見込まれる。

磁気コアの低損失化が進めば、電気自動車(EV)などのパワーエレクトロニクス回路の高周波化による小型化、軽量化および低損失化に貢献し、EVの航続距離延長や充電時間短縮などに繋がることが期待される。

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