- 2025-1-14
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機械エンジニアに興味や関心はあっても、いざ転職を考えると「どのようなスキルや資格が必要なのか?」「未経験でも転職できるのか?」などの疑問が出てくる方は多いのではないでしょうか。また、そもそも機械エンジニア自体について、漠然としか知らないことに気付かれる方も少なくありません。
この記事では、機械エンジニアの概要や仕事内容、将来性、年収、必要なスキル、役立つ資格、転職難易度、転職を成功させるポイントなどを解説します。どうぞご覧ください。
機械エンジニアとは?
機械エンジニアとは、自動車や航空機、産業用機械、工場設備、ロボット、ITデバイス、家電製品、医療機器など、さまざまな分野の機械や装置、機器に携わるエンジニアのことです。「機械系エンジニア」や「メカニカルエンジニア」とも呼ばれます。
機械エンジニアは、製品の企画から設計、開発、製造、運用、保守、改造まで、全ての工程で必要とされます。そのため、世間的には同じ機械エンジニアでも、まったく異なる仕事をしていることもあるでしょう。また、設計だけでも構造設計や機構設計、筐体設計、樹脂設計、板金設計、金型設計、レイアウト設計、量産設計など、幅広い業務があります。
このように、機械エンジニアには多種多様な専門分野、仕事内容がありますが、その共通する目的は私たちの生活をより便利で快適にする製品をつくることです。機械エンジニアは、それぞれの専門性を生かすことで高品質な製品をつくり上げ、私たちの豊かな生活を支えているのです。
仕事内容
機械エンジニアの仕事内容は多岐にわたりますが、メインとなる流れは「企画立案」「基本設計」「詳細設計」「性能評価」です。
企画立案は、クライアントの要望や市場のニーズをヒアリングしたり調査したりして、どのような製品をつくるかを構想します。「こんなことができたらいいな」という曖昧なイメージを構想に落とし込むためには、機械エンジニアの視点が不可欠です。
基本設計は、企画立案で構想したものを製品として具現化するために、実際に使われるパーツの寸法や組み立て方法などを決めていきます。より良い製品になるように、レビューとして機能性や操作性、安全性、耐久性などの評価を繰り返すことも必要です。
詳細設計は、製品を製造する際に必要な寸法公差や幾何公差などを決めていきます。基本設計で決めた寸法しか認めないとなると、製造現場は不良品であふれます。そのため、品質を保証できる許容範囲をシミュレーションし、適切な公差を定めなければなりません。
詳細設計をして図面が完成したら、次はプロトタイプを試作して性能評価をします。性能に問題があれば、設計を見直して改善を繰り返します。性能評価試験に合格すれば量産開始です。
機械エンジニアの1日のスケジュール例としては、午前中はメール対応や図面作成。午後は製造部門や評価部門などとミーティングをしたり、チーム内で情報共有して課題解決や検討をしたりします。機械エンジニアというと図面に向き合うイメージがありますが、ミーティングなどにも多くの時間を費やします。
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生産設備、自動車部品、民生品などの経験を経て、産業用ロボットの設計開発で約14年。機械系エンジニアが歩んだキャリア___メイテック 池田 善朗氏 |
今後の将来性
機械エンジニアには将来性があります。特にAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)
などの先端技術に明るい機械エンジニアは、良いポジションが得られるでしょう。
今は少子高齢化により、さまざまな業界が人手不足に陥っています。この人手不足を解消するために期待されているのが、ロボットをはじめとする機械です。既に運搬や配膳、警備、受付、清掃、医療など、さまざまな分野でロボットが活躍していますが、活躍の場は、これからますます広がっていくでしょう。
ロボットの他にも、人の手が必要とされるものを自動化する機械が求められています。例えば近年、スーパーマーケットなどでセルフレジやセミセルフレジが急速に普及してきました。これからは、あらゆるところで「自動〇〇機」が増えていくことが予想されます。
さらに今後の製品は、便利なだけでなく、環境に優しいかどうかも重要なポイントになってきます。こうした時代のニーズに合わせて、機械エンジニアの活躍の場は広がり続けるでしょう。
年収
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、「機械技術者」の平均年収は612.4万円でした。ただし、企業規模によって差があります。統計調査では、1000人以上の企業は671.4万円、100〜999人は579.9万円、10~99人は500.6万円でした。
一般的に勤続年数によって年収は上がっていきますが、大きく年収アップを狙うならば規模の大きい企業への転職が有効です。そのためにはキャリアパスを描き、スキルや経験を計画的に高めていくと良いでしょう。
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機械エンジニアに転職するために必要なスキル
機械エンジニアに転職するために必要なスキルとして、以下の3点が挙げられます。
• 機械やソフトウェアに関する知識、技術力
• コミュニケーション能力やマネジメント能力
• 法律や規格に関する知識
それぞれ見ていきましょう。
機械やソフトウェアに関する知識、技術力
機械エンジニアのスキルとして軸となるのは、機械に関する知識や技術力です。機械工学の4力学である「機械力学」「材料力学」「熱力学」「流体力学」は基本知識として身に付けておく必要があります。そのため、特に未経験から転職する場合は、理系出身者を歓迎する企業が大半です。また、実務に欠かせないCADやCAEなどのソフトウェアに関する知識や技術力もあると、即戦力と判断されて選考が有利になるでしょう。
コミュニケーション能力やマネジメント能力
機械エンジニアは、1人で黙々と図面に向かうことだけが仕事ではありません。1つの製品をつくり上げるには、チームメンバーや他部門のエンジニア、クライアントなど、さまざまな人たちと関わる必要があります。そのため、知識や技術力だけでなく、コミュニケーション能力も求められます。また、プロジェクトリーダーや管理職候補の場合は、チーム全体のパフォーマンスを上げて製品を完成に導くマネジメント能力も必要です。
法律や規格に関する知識
ユーザーの安全を守り、信頼性の高い製品をつくるためには、法律や規格に関する知識も必要です。法律としては「労働安全衛生法」「製造物責任法(PL法)」「特許法」、規格としては「JIS(日本産業規格)」「ISO(国際標準化機構)」「IEC(国際電気標準会議)」などがあります。また、環境に優しい製品開発のためには、「RoHS指令(有害物質使用制限指令)」なども配慮しなければなりません。
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機械エンジニアに転職するのに役立つ資格
機械エンジニアに転職するのに役立つ資格として、以下の3点が挙げられます。
• 技術士
• 機械設計技術者
• CAD利用技術者
それぞれ見ていきましょう。
技術士
技術士は文部科学省が認定する国家資格で、技術士試験の合格により高度な専門知識と豊富な実務経験を備えた技術者であることが証明されます。21の部門に分かれており、機械エンジニアは「機械部門」に該当します。一般的な知名度は低いかもしれませんが、技術系では一目置かれるトップクラスの資格です。技術士を取得していれば、書類選考で門前払いをされるようなことは少なくなるでしょう。
技術士試験は、一次試験と二次試験があります。一次試験は大学修了程度の知識が必要とされますが、学歴は関係なく誰でも受験可能です。しかし、二次試験は7年の実務経験がないと受験できません。ただし、指導技術士や職務上の監督者の下で実務経験を積める場合は、4年の実務経験で二次試験を受験できます。
機械設計技術者
機械設計技術者は民間資格で、日本機械設計工業会が資格試験を主催しています。「安全で効率のよい機械を経済的に設計する機械設計技術者の総合能力を認定」する試験です。入門的な3級から専門性の高い1級まで用意されているため、技術士より取得しやすく、それぞれのレベルに応じて機械エンジニアとしてのスキルを証明できます。
3級は誰でも受験可能です。しかし、2級は最大7年、1級は最大10年の実務経験が学歴に応じて必要になります。未経験から機械エンジニアにチャレンジする場合は、3級を取得していればスタートラインに立てるでしょう。機械工学の基礎として「機構学・機械要素設計」「機械力学」「制御工学」「工業材料」「材料力学」「流体・熱工学」「工作法」「機械製図」の知識が問われます。
CAD利用技術者
CAD利用技術者も民間資格です。試験はコンピュータ教育振興協会が主催しています。
一般的に機械エンジニアの経験者は、転職の際にCADが使えて即戦力になると判断されます。それに対して未経験者は、CADが使えず教育コストがかかると判断されるため、選考がマイナスからのスタートになる場合があります。しかし、CAD利用技術者を取得していれば、CADシステムや製図に関する知識やスキルがあると見なされ、マイナススタートを避けられます。
2次元CAD利用技術者試験は「1級」「2級」「基礎」、3次元CAD利用技術者試験は「1級」「準1級」「2級」が用意されています。機械エンジニアは2次元CADも3次元CADも必要ですが、未経験の場合は基本となる2次元CADから勉強すると良いでしょう。
機械エンジニアへの転職は難しい?
機械エンジニアは専門的な知識やスキルが必要とされるため、誰でも簡単に転職できる職種ではありません。しかし、逆に専門知識やスキルがある場合は、たとえシニア世代であっても即戦力として良い条件の企業に転職しやすい職種とも言えます。特にマネジメント経験がある機械エンジニアは重宝されるため、さらに良い条件で転職できるでしょう。
未経験者から機械エンジニアへの転職はハードルが上がるものの、昨今の人手不足も相まって理系出身者であれば十分にチャンスはあります。事前に勉強して機械設計技術者やCAD利用技術者などの資格も取得していれば、さらに転職しやすくなるでしょう。これまでのキャリアを少しでも生かせる企業を探すことも、転職難易度を下げるポイントです。
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未経験から機械エンジニアに転職するには?
未経験から機械エンジニアに転職するには、事前に勉強して資格などを取得することの他に、企業選びが重要なポイントになります。
まずは給料や福利厚生よりも、機械エンジニアとしてのキャリアをスタートさせることが最優先です。そのため、未経験者歓迎で充実した研修制度があるなど、教育に力を入れている企業を選ぶと良いでしょう。
さらに魅力のあるキャリアパス制度が整備されている企業ならなお良しです。しかし、キャリアパス制度がなくても、転職することを見据えてスキルや経験を着実に積み上げていけば、数年後にはより良い条件の企業に転職できるでしょう。
また、機械エンジニアを派遣する企業は未経験でも比較的入りやすく、さまざまなプロジェクトに参加してスキルや経験を積めるという利点があります。
機械エンジニアへの転職成功事例
機械エンジニアになって「やりたいこと」を持つことは重要ですが、企業側としては「何ができるか」が評価ポイントになります。そのため、機械エンジニアへの転職成功事例としては、前職でのスキルや経験を生かしたケースが多く見られます。
例えば、製造エンジニアとして組み立て経験があったり、フィールドエンジニアとして保守経験があったりするならば、組み立てやすい設計や保守を考慮した設計ができるでしょう。また、まったく畑違いでも営業経験やマネージャー経験があれば、そのコミュニケーション能力やマネジメント能力を生かして良いチームワークを築けるはずです。
このような期待感を企業側に与えられると評価は高まり、転職を成功させやすくなります。
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まとめ
機械エンジニアの概要や仕事内容、将来性、年収、必要なスキル、役立つ資格、転職難易度、転職を成功させるポイントなどを解説しました。
機械エンジニアは、さまざまな分野で私たちの生活をより便利で快適にする製品をつくり出しています。これからIoTや自動化などのニーズはさらに高まることが予想されるため、ますます機械エンジニアの活躍の場は広がるでしょう。
機械エンジニアの仕事に興味や関心のある方は、ぜひメイテックネクストにお問い合わせください。
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fabcross for エンジニア 編集部
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