半導体デバイス開発エンジニアへの転職成功のポイントは?仕事内容や必要なスキル、年収、転職市場動向を解説!

半導体を用いた電子部品である半導体デバイスは、今後、クラウドサービスの普及やそれに伴うデータセンターの需要増加、電気自動車(EV)や先進運転支援システム(ADAS)、自動運転向けの電装システムの搭載数増加などの要因から、市場規模が拡大していくことが想定されます。この記事では、半導体デバイスに関わる仕事内容、求人市場動向、転職を成功させるポイントなどをご紹介します。

半導体デバイスとは

半導体デバイスは、電気を通しやすい導体と電気を通さない絶縁体の中間の性質を持った半導体を活用した電子部品です。シリコンやガリウム砒素などの半導体の基板上に、トランジスタやダイオードなどの複数の素子から構成される電子回路をつくり、チップ状に切断して半導体デバイスとして使用します。メモリーやマイコンなどのICとして、パソコン、スマートフォン、デジタルカメラ、ゲーム機といった日常で使うものから産業機器まで、幅広い分野で使われています。

また、半導体デバイスとして、トランジスタやダイオードのように1素子が単独の機能を持つものをディスクリート(個別半導体)といいます。パワー半導体、イメージセンサー、光素子なども、この分野の半導体デバイスです。近年、EV向けとしても需要が高まっており、日本の強みを最大限発揮できる半導体分野でもあります。半導体デバイス自体は極めて小さいため、意識して使うことは少ないかもしれませんが、現代社会にとって不可欠なものです。そのため、今後も半導体デバイスを開発するエンジニアは、重要な職種の一つであり続けるでしょう。

半導体デバイス開発エンジニアの仕事内容は?

半導体デバイス開発エンジニアの仕事内容としては、設計/試作/評価/解析などがあり、能力や実績が評価されれば、 半導体デバイスの研究テーマ設定や研究計画の立案などのマネジメント業務を任せられることもあるでしょう。専門的で高度な内容が中心となるため、他の分野から未経験の人が採用されることは少なく、転職する際には、関連する業務の経験や知識を有するエンジニアが有利になる傾向があります。

具体的な仕事の内容については、基礎的な研究からデバイスの特性評価など、多くの作業が存在します。同じ職種であっても開発段階に応じて中心となる作業が変わったり、企業や職場によって仕事のやり方も違ったりしますから、求人情報だけに頼るのではなく、採用担当者や現場のエンジニアなどに具体的な仕事内容を確認しておくことが大切です。

半導体デバイスに関する代表的な大手メーカーは?

半導体デバイスに関する代表的なメーカーとしては、ルネサス エレクトロニクス、ソニーグループ、キオクシア、東芝、ローム、富士電機、京セラ、Texas Instruments、パナソニックなどがあります。国際的な大手メーカーも数多く、多種類の半導体デバイスを扱っていることも珍しくありません。同じ半導体デバイスメーカーでも、開発するデバイスの種類が異なれば、仕事の内容や進め方なども大きく違ってきますから、事前に会社のことをよく調べておく必要があります。半導体デバイスに関する求人情報だからと応募するのではなく、どのような種類/用途のデバイスを開発していて、これまでの業務経験や技術などが活かせるかを、詳しく検討することが大切です。どのような開発技術を持っている人でも、事前の企業研究は欠かせません。

富士電機

富士電機は、古河電気工業とシーメンスとの提携により設立された総合電機メーカーです。パワー半導などに関する技術に強みを持ち、デバイス開発に携わるスタッフが大勢います。日本国内に複数の工場があり、事業分野によって拠点が異なります。主な求人としては、パワーモジュールの製品設計、半導体チップの試験、検査、生産の他、パワー半導体新製品の工程設計などがあります。

ローム

東証プライムに上場している、60年以上の歴史を持つ半導体の大手メーカーです。家電製品や産業機器向けにLSI/各種半導体/モジュールなど、幅広い分野の半導体開発や製造を行っています。開発から製造までをグループ内で一貫して手掛けているので、高品質の製品を安定して供給できる体制が整っていることが強みです。

これからの注力事業領域の一つであるパワーデバイス開発エンジニアの求人では、GaNデバイスおよびLSI(ドライバ、コントローラ)を使用した評価ボードの開発、プロセスフロー設計やプロセス開発、SiCパワーモジュールの設計、評価、試験などの業務で募集がかけられています。

京セラ

半導体用のセラミックパッケージで世界的なシェアを持つ京セラも、半導体デバイスを開発しています。創業以来、強固な経営方針と優れた財務基盤が有名で、近年多額の設備投資と研究開発費を投じていることも高く評価されています。デジタル半導体開発、RF/アナログ半導体開発などのエンジニアを求めているので、半導体デバイス関連の業務経験や開発技術があり、京セラの経営方針や半導体デバイスに関する内容に関心があるのであれば、求人に応募することを検討してみましょう。

半導体デバイス開発エンジニアに関する求人の年収は?

エンジニアを専門に転職支援を行うメイテックネクストによると、現在の半導体デバイス開発エンジニアの求人は、ITを除いた他業界に比べて好待遇であることが特徴です。年収としては、20代で500万~700万、30代以上では600万~1,000万の求人があり、1,000万を超えるオファーも数多く出ています。

高度な技術力を持ったエンジニアが、その経歴を活かせる求人に応募すれば、同年齢の一般的な年収を大きく超える条件を提示されることもあるでしょう。年収については他の職種と同様に、同じ内容の仕事でも会社によって大きな差があることも珍しくありません。年収を優先して転職先を探す場合は、これまでの業務実績を高く評価してくれる企業を探すことが大切です。

求人に応募する際は、問題のない範囲で過去の仕事の内容を詳細に説明すれば、正確な評価をしてくれるでしょう。半導体デバイスの開発を行う企業の採用担当者であれば、半導体関連の具体的な内容についてもよく理解していることも多いですし、難しい技術的な話でも社内の関係者と相談して適切な評価をしてくれます。遠慮することなく専門的な内容まで説明して、転職を希望する企業の要求するスキルと、どの程度一致しているのかを確認することが、年収のアップにつながります。

半導体デバイスに関する求人への転職を成功させるポイント

半導体デバイスに関する求人への転職を成功させるポイントは、自分を客観視すること、求人におけるニーズを理解すること、ある程度柔軟に対応する態度などです。

それまで働いていた企業で十分な実績を残していた開発者でも、転職する時には過去の実績だけで通用するとは限りません。半導体デバイスに関する業務実績があっても、ゼロから実績を積み上げる気持ちを持って、転職活動を行うことが重要です。

優れた実績や能力があるから採用されて当然だろうと考えていると、応募した企業との考えに相違が生じて採用されることも難しくなりますし、転職後に仕事で成功することも困難になるでしょう。転職先で新しく仕事を始めるという意識を強く持つことが肝心です。

自分を客観視する

半導体デバイスの求人は、高度な専門性が要求されることが多いため、関連する業務実績のある人が採用されやすくなります。同じような経歴の人が応募した場合には、より担当する業務に近い仕事の経験がある人が採用される可能性が高いでしょう。高い技術力を持った人でも、これまでの業務実績を振り返り、どのような仕事をしてきたのかをまとめる必要があります。

業務実績については、できるだけ客観的な事実を基にして、まとめるようにしましょう。自分の業績となると主観的なものになりがちですが、どのようなプロジェクトでどんな役割を担当し、どういった結果が出たのかなど、事実を中心にしてまとめるべきです。

客観的に業務実績を洗い出したら、どのような半導体デバイス関連の仕事をしてきたのかを詳しく把握できるでしょう。そうなれば、どのような求人なら採用されやすく、転職後も活躍できるのかが分かります。

業界や企業のニーズを理解する

求人は、その時点での業界動向や企業の内部事情に大きく左右されます。例え優れたエンジニアでもあっても、求人市場が冷え切っている時は、転職活動で苦労することでしょう。そのため、転職活動を成功させるためには、求人全般が少ないのか多いのか、需要の多い半導体デバイス関連の職種は何かなど、現在の業界動向や企業事情を把握することが重要となります。求人情報を小まめに確認する以外にも、毎日、新聞やニュースなどで経済や業界の動向を調べたり、企業のホームページで何か新しい発表がないか調べましょう。最新の半導体業界や企業ニーズを把握して転職活動をすれば、採用される確率も高まりますし、入社する際の待遇もより良いものになるでしょう。

柔軟に対応する

転職活動の成否は、これまでの自分の業務実績と企業のニーズに大きく影響されますので、転職したいという思いだけで上手くいくものではありません。業務実績が不十分な時は、現在働いている会社で必要となる経験が積める仕事をしたり、必要な知識を勉強したりすることが求められます。企業側の状況などによって採用されるのが難しい時には、転職する時期をずらすことも必要です。転職したい気持ちが強い場合は、今すぐに希望する職種で別の会社に移りたいと思ってしまいますが、実際に転職できる可能性が低いのであれば、落ち着いて行動しなくてはなりません。慌てて転職すると、希望とは異なった結果になってしまいますから、冷静に状況を判断して転職活動を行うようにしましょう。すぐに転職する必要がなければ、状況に応じて柔軟に対応することが大切です。

半導体デバイスに関する求人の会社選びのポイント

メイテックネクストによると、半導体デバイスに関する求人を選ぶ際のポイントは大きく2つあります。

一つは先行開発にお金をかけている(投資ができている)状態であるかです。言い換えると、取り扱い製品において高いシェアを誇るメーカーであるかが一つのポイントとなります。また、デバイスメーカーと言っても、開発から製造まで一貫して対応している企業だけでなく、Armのような開発専業、TSMCのような製造専業などもありますので、それぞれが業界の中でどの立ち位置にいて、どこに強みを発揮しているか、シェアやニーズを獲得できているかなどの点を見ると良いでしょう。

もう一つは、自分の強みを発揮できる会社であるかです。半導体デバイスの業界は電気・電子系出身の人が対象だと思われがちですが、化学系・機械系エンジニアの需要も豊富にあります。例えば、化学系のニーズとしては、プロセス開発が挙げられます。半導体の性能は材料や純度に大きく左右され、300以上の工程を経て製造し、完成すると言われています。各工程での最適なレシピの追究や、原因が判明していない事象・現象の解明、新材料・新手法を組み合わせた開発など、最先端デバイスを生み出すために化学系エンジニアの力が必要なのです。機械エンジニアの需要としては、デバイスの構造設計に加え、さまざまな解析(CAE)が挙げられます。デバイスの高性能化、微細化によって、機械的な強度や耐久性、信頼性への要望がますます高まっているため、応力解析、熱解析、強度解析などの経験者は、ニーズが高いでしょう。

半導体デバイスに関する求人への転職なら「メイテックネクスト」

半導体デバイスは高度な技術的内容を含みますし、最新の技術も次々と登場することから、一般の人には理解するのが難しい分野と言えます。そのため、半導体デバイスに関する転職を考えている時には、半導体や電子に関するコンサルタントがいるメイテックネクストの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

メイテックネクストの特徴は、電気・電子に限らず、化学、物理、機械、数学のエンジニアの方に対して、それぞれの強みが活かせる職種を厳選して提案できることです。電気・電子領域のエンジニアの方であれば、「半導体未経験の方ならどの職種を選ぶと良いのか」、「その職種を選ぶことによっての将来的な習得技術」などをしっかりご説明し、これまでの経験の活かし方と得られる能力の両側面から、最適な求人を提案致します。

一例になりますが、メイテックネクストでは巨大なプラント全体を設計していた方の、半導体デバイスの開発職への提案実績、入社実績があります。このように一見関連がないように見える職種への転職でも、これまでの経験や実績を活かせる求人を提案致しますので、是非一度お話をお聞かせ下さい。

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■半導体デバイスの求人が気になる方はこちら

まとめ

半導体デバイスに関する仕事は、これからも産業や生活にとって重要なものであり続けるでしょう。仕事の内容についても、次々と新しい技術が登場してくるため、刺激に満ちて退屈しない職種となっています。半導体デバイスの開発に関する仕事を続けて、順調にキャリアを積んでいけば、会社で中心的なポジションに就いたり、最先端の技術に触れたりする機会も増えてきます。現在の職場で働き続けるのも悪くないですが、より充実した職場で働ける機会が見つかるのであれば、転職を検討してみるも良いでしょう。


記事監修
梅津 太一(メイテックネクスト 東京支社長)
中小から大手メーカーに対する採用コンサルティングを4年、その後はキャリアアドバイザーとして11年、延べ4000名以上のエンジニアのキャリアカウンセリング経験を持ちます。得意としていることは「求職者の強みの抽出」と「要素技術軸、工程軸(方法論)でのマッチング」です。昨今のマーケットは先が読みくいが故、自身が今どのような経験を積むべきか、また、どの分野(強み・弱み)に負荷をかけ成長を促すかを求職者と一緒に考えていきたいと思います。


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